新築

通常の人生において、その一生における最大額の買い物は家の新築だろう。

これは俺の友人知人を見る限りにおいてだが、そのような高額な買い物にも関わらず、皆あまりにも安易に購入したり、あるいは建て替えしたりしている。

居住空間にさしたる興味がないのなら他人にとやかく言われる筋合いはないだろうが、彼らの買い物は俺にとってあまりにも信じがたい。

マイホームというものは人生における約三分の一の時間を費やす極めて大切な場所でもあるし、専業主婦の女性ならばその比率は尚更跳ね上がる。

単に高額な買い物であるということのみならず、その事実だけでも最大限の神経を払ってもいいと思うのだが。

家を新築したからとたまに招かれることがある。

嬉しくて、きっと誰かに見せたくて仕方がないのだろう。

それはそれで微笑ましいことであり、道中ローンの苦労話など聞きつつ案内されてみると何の変哲もない一件を指されて「ここやねん」と言われる。

さっきまでの羨望もどこかに吹っ飛び、「何と、もったいない買い物か」と内心思う。

何も奇抜な外観にしろと言いたいわけではない。

しかし、ふんだんに家主の趣向なり感性の取り入れられた家というものは、自然その片鱗の一端が外観にも醸し出るものである。

ところが、指さすその一件は、私と同じ町内に同様の外観を見つけるのに一分とかからない仕様だ。

皆、そうだった。

せっかく高額の出費をしたりローンを抱えるのなら、少なくとも俺は自分の部屋がフローリングに替わったり、三階立建てになったくらいでは満足しない。

SMに興味を持ち、いつしか女性を自由に縛れるようになって間もなく、俺は自分のプライベートダンジョンが欲しいと切に思った。

眠る前、ダンジョンの内部をあれこれ空想し、やがてそこにさしたる内装は必要がないという結論に達したとき、その思いは今度は建築的な興味へと直結した。

もう10年以上も昔のことだ。

俺は図面は書けないし構造力学的な計算もできないけれど、非学術的芸術的空間設計においての感性はそれなりに研ぎ澄まされてきた。

そんな訳で、高額なローンを抱えるにも関わらず、ありふれた普通の家を建てるという行為が何とももったいなく感じる。

週末は何かと楽しみが多いが、土曜日、俺には朝の起き抜けからそれがある。

このおかげで金曜の夜にどれだけ遅く寝ようが俺は翌朝9時30分に起きる。

リモコンをつかんでTVの電源を入れると「渡部篤史の建てもの探訪」が始まる。

この番組は、毎週毎週、実に魅力的な住宅を紹介してくれる。

TV朝日系の全国ネットであり、長寿番組でもあるので、ほとんどの人は一度や二度は見たことがあるはずだ。

COZY-HOUSE(極小住宅)が中心の放送だが、よくぞこの坪数でこれだけの空間を創ったものだと関心せずにはいられない。

例え建坪10坪前後であっても、実に素敵な家が建てられるものなのだ。

この番組を見れば、よもや普通の家を普通に建てたいなどとは決して思わない。

将来において家を建てる予定があるのなら、次の土曜からは是非朝の9時30分に目覚ましをセットしてみて欲しい。

そこには新鮮な感動があるはずだ。

SM的新改築の論点は、プライバシーの確保、天井壁面補強、天井高に尽きる。

語り始めるとキリがないので、要点のみにとどめるが、プライバシーの確保とはSMをするにあたって隣近所及び同居者への配慮であって、これが十分でないと自分たちも大胆に楽しめない。

そのようなダンジョンなど無意味で、これではせっかくの新改築も台無しだ。

ここで言うプライバシーの確保とは視覚的プライバシーと聴覚的プライバシーの二種がある。

天井補強及び天井高は「吊し」のためのものであり、これができるとできないとでは内容に雲泥の差が生じる。

天井補強は後から鋼鉄製のバーを設備してもいいが、コンクリート打ちっ放しの部屋であれば天井にアンカーボルトを打ち込んでおけば後から何とでもできる。

和室ならば梁を上手く使う。

予算との兼ね合いもあるが、地下スペースに防音を施し、そこをダンジョンにしてしまうのがベストかと思われる。

また、兼オーディオルーム、兼ピアノルーム、兼トレーニングルーム、兼茶室といった具合に他の機能と兼ね併せるのも有効な利用方法だろう。

例えばSM好きの二人が結婚し、家を新築するとなると、これはもう人生のクライマックスともいうべき幸せなことである。

安易に建て売りや出来上がりのデザインなどで満足せず、徹底的にこだわるべきだ。

実際に住むのも幸せなことだろうが、あれこれデザインについて悩んでいる時間というのも実に楽しいものだろう。

服や車のように、気に入らないからといって簡単には替えられないので、その構想が数年かかっても一向に構わない。

余談だが、俺の構想を少しだけ書いてみよう。

・吹き抜けの空間があること

・屋上にちょっとした空間があること

・緑が楽しめること

・広いキッチン

・広い風呂

・一人一部屋

・書斎があること

・明るい家であること

・風通しが良いこと

・SMを楽しむ為の部屋があること

・和の空間があること

他にもいろいろあるが、だいたいはこんなものか。

一見実現不可能、あるいはとてつもなく高額になりそうな感じもするが、先に紹介した番組を参考にすると、実はそうでもないことがわかるはず。

30坪もあればとても贅沢な家が建てられる。

無理だと思うのは単に情熱不足だ。

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