主バー三角木馬

俺にはたくさんの夢がある。

その最たるものは里山にプライベート・ダンジョンを持つことだが、その他中規模な夢の一つにSMバーを持つというのがある。

SMバーといっても、巷にあるようなそれとは全く違う。

そこはいわゆるご主人様と呼ばれる人々を対象とした会員制のバーで、店の雰囲気は銀座の重厚な老舗バーといったところ。

ただし、普通のバーと決定的に異なるのは、カウンターの椅子にはそれぞれリード留めがあって、その椅子の後ろ下では、主に同伴してきた奴隷が首輪に繋がれてじっと静座している。

ただそれだけの店だ。

店の名前は既に決めてある、それすなわち「三角木馬」。

店内は静かな大人の空間。

店が用意するお決まりのSMショーなども一切行わない。

ただし、店の象徴となる三角木馬はいくつか用意するので、各自気が向けば奴隷に跨がせればいい。

それを肴に一杯やるもよし、あるいは無視して、主同士で会話を楽しむもよし...といったイメージだ。

客が好きに使える責めに用いる拘束台と吊し用のポールも設置する。

主とその奴隷との組み合わせのみ入店可。

主は最低一人の奴隷を同伴する必要がある。

こんな店があれば行きたいと思うのだが、どこにもないので(俺が知らないだけかもしれないが)、自分で作ろうという具合だ。

マスターは俺がやる。

しばらくはロクなカクテルは出せないだろうが、それはご愛敬。

小腹が空いた客のために俺自慢のトマトチキンカレーでも出そう。

月に何度かはM女性のみ来店可の日を設けるのもいい。

俺がいろいろ相談に乗ろう。

あるいは、責めて欲しければこの日に来ればいい。

このバーは俺の自慢の奴隷の披露の場としても使う。

店は俺のプライベート・ダンジョンとしての機能も持たせる。

2025年、俺が里山のダンジョンに引っ越す際は綺麗さっぱり閉店する。

shadow

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