野宿再び
俺の体の回りのあちこちを「幸福」という文字が漂い始めたとき、それとは全く正反対の境遇に身を置きたくなる。
そろそろ、その時期が来たようだ。
昨日届いた沢山のメッセージやチョコレートを見てそう思った。
別に幸福が嫌なわけじゃない。
頬の緩んだしまりのない男になりたくなければ、有頂天の勘違い男にもなりたくない。
ただそれだけのこと。
よって週末は予定を変更し、明日の夜から寝袋と1,000円だけを持って野宿に出ようと思う。
別に2,3日の野宿が幸福の対極だとは思わないが、それでも夜の寒さと空腹は俺に何かを与えてくれる。
あるいは、大事な何かを思い出させてくれるだろう。
心配は無用。
こんなこと、今に始めたわけではないし、そもそもこういう野宿自体とても贅沢なことではないかと感じてもいる。
今までもそうであったように、ちょっと疲れて空腹ではあるだろうけど、日曜の夜には元気に帰って来る。
その夜チョコレートを口にし、メッセージや手紙を再度読めば、甘さとありがたさが身に染みるだろう。
そのとき、甘いのは糖分ではなく、ありがたいのは文面でもない。
それをもって礼としたい。
shadow
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