SMホテル

SMを楽しむ者にとってプライベート・ダンジョンを所有することは誰しもの夢である。

しかしながら、責め具や拘束台等の設備面はともかくとして、SMには必ず音の問題も付いてくるので、単にどこか一部屋借りればそこが即プラーベート・ダンジョンというわけにもいかない。

よって、本格的なSMプレイを行うに当たって誰しもが先ず頼りにするのがSMホテルである。

しかし、東京麻布にあるアルファイン以外はSMと名の付く部屋であっても総じて部屋や設備がしょぼい。

狭い部屋の隅に拘束台が一つあるだけで堂々SMルームと名乗られてもこっちとしては困るわけである。

カップルがちょっとした気分転換で遊ぶのならそれでも十分刺激的なのだろうが、我々のような責めの専門家には全く物足りない。

そんな中途半端なSM部屋を使う位であれば和室部屋を利用する方がよほど使い勝手がいい。

何よりかなりの高確率で鴨居や欄間があるので、そこに麻縄を通して吊ることができる。

SMにおいて吊れるか否かは大問題で、これによって緊縛や責めの幅が全く違ってくる。

吊るといったところで何も体を完全に宙に浮かせる必要はなく、縛った手首を上方向に引き上げたり、片足のみを吊ってみたり、床に転がして海老反りにしてみたり...などと、垂直に負荷が掛けられるだけでもいろいろ楽しめる。

とにかく、上方向へ縄の負荷をかけられるというのは緊縛において極めて重要なことだ。

垂直負荷がかけられないSM部屋など、もはやSMと名付けるに値しない。

その点、和室というのは天井高の低さはこの際目をつぶるとして、概ね欄間を利用した垂直負荷が可能であるという意味において、それ自体既にSM部屋としての機能を有していることになる。

よって、プライベート・ダンジョンを持たず、アルファインを手軽に利用できない環境の者は、せめて普段からSMに使えそうな和室部屋の情報収集をしておく必要がある。

俺の住む大阪地区であれば谷町九丁目にあるホテル愛麒麟の和室部屋など重宝している。

ただし、部屋の予約は不可であり、毎回空いているかどうかは行ってみないとわからないのがラブホテルの難点だ。

シティーホテルの和室であれば予約は可能だが、それなりの料金が発生する上に再度音の問題が浮上してくる。


このように、快適にSMを楽しむ空間探しには何かと苦労させられるが、「いつか理想のプライベート・ダンジョンを持つ!」という夢を人生のモチベーションに転化し、日々全力で仕事に当たるのがこの羨望との正しい付き合い方だと俺は思う。


失敗談を一つ。

以前、M女と旅行に行った時のこと、温泉に入り、食事をし、部屋でひと心地ついたところでさて責めの開始とばかりに鴨居に麻縄を通して吊しの準備を始めた。

と、そのとき、なぜか仲居が部屋に入ってきたのだ。

部屋の布団を敷き忘れたと言う。

事前に「自分たちで勝手に敷くから結構」と伝えていたのだが、伝言に手違いがあったようだ。

その時、欄間にかけられた麻縄を見た仲居が、どうも俺たちが自殺をすると思ったらしい。

まあ、その解釈も無理はない。

「いや、これは自殺ではなく今からこの女を縛り上げるための縄なので」とも言えず、ちょっとした騒動になったことがある。

せっかくの旅行に大きく水を差されることになるので、旅先の和室部屋で吊す場合は十分に注意されたい。

shadow

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