英語では「flagellation」。


海外ではSMを代表する最もメジャーな責めである鞭打ちは、

同じくここ日本でもかなりの愛好家が存在する。

(海外での鞭の使い手は主に女性であり、その傾向が日本でも見られる。

女王様と呼ばれるほとんどの女性は鞭を所有しているのではないだろうか。

鞭とレザーボンデージがなければ女王様ではないといったような、シンボル的アイテムでもある。

これに対し、S男性は必ずしも外見や鞭にこだわっていない。)

M女性はしばしば奴隷と表現されるが、言葉的にもビジュアル的にも、

奴隷の責めには鞭こそが最もよく似合う。


・顔面を打たない。

・(いないだろうが)肌が裂け、骨が露出するまで打たない。

・最初からいきなり力まず、徐々に力を込める。

・基本は臀部(特に下部)。

以上が注意点だが、緊縛や蝋燭に比して項目が少ないことからも、

それだけ手軽な責めであると言える。

しかしながらその肉体的及び精神的効果は責めの中でもトップクラスで、

多くのM女性が鞭打ちにより自らの被虐願望を満たすことができる。

また、多少のコツさえ掴めば鞭打ちにより女性をオーガズムに導くことも可能だ。

先ず、鞭打ちを行う前に丹念にマッサージを行い、最後はつまむような感じで多少力を入れる。

脳が鎮痛状態や陶酔状態をもたらす神経伝達物質を放出させるためにはある程度の時間が必要になるからだ。

この物質の放出量に比例して鞭打ちの力加減を徐々に増していけばオーガズムに導くことができる。

クライマックスでは多少強く打っても問題ないし、その方が絶頂に達しやすい。

と、文章で書くのは極めて簡単だが、放出量やそれに要する時間などに個人差があるので、

鞭を打ちながら女性の反応に神経を払いつつコツを掴んでいけばいい。

もちろん、全ての女性が鞭により達するわけではないが、

多くのM女性はこの神経伝達物質の放出量が一般人よりも多いと言われている。

この放出量が多ければ多い程、より大きな苦痛に耐えられるというわけだ。

オーガズムを重視する鞭打ちであれば、臀部の下側を中心に行うと良い。

性器にも近く、エクスタシーを得ることのできるツボがあると東洋医学的には言われている。



鞭打ちの導入は容易であり、まずは一本購入してみることだ。

(あるいは実際に購入しなくても様々な物で代用可能。ただし雰囲気は著しく劣る。)

購入に当たってどのタイプの鞭を選ぶかは悩むところでもあるが、

特にこだわりがないのならバラ鞭から始めるのが無難だろう。

バラ鞭とは先端が幾筋にもばらけているタイプの鞭を言う。

皮は堅過ぎず柔らか過ぎずの中間辺りが良い。

安価なバラ鞭の多くはペラペラのソフトレザーで作られており、

とても責めとは言えないお粗末な鞭打ちになってしまうので注意が必要だ。

可能なら実際にショップで堅さを確かめてから購入するか、あるいは自作してしまうのがいいだろう。

バラ鞭は鋭く肌を打つというよりも、先端のばらけた皮が「ベシャッ!!」と当たる鈍い音がする。

要するに、さほど痛くない割に音のボリュームはある。

これが初心者に勧める所以だ。

対象的なのが一本鞭で、これで打つと力がほとんど逃げずに肌に伝わり、鋭い痛みが走る。

音的にはバラ鞭ほどの派手さはないが、風を切るような鋭い「ピシッ!!」という感じの音がする。

通常、鞭というものは細くなればなるほど痛みは鋭くなり、

一本鞭は本格的な責めを楽しめる鞭である。

ただし、本格派という意味においては長鞭に勝るものはなく、

痛みやビジュアル的な面で申し分ないが、

なにぶん振り回すにはそれなりのスペースが必要であると共にかなりのテクニックが要求されるので、

一般向けとは言い難い。

バラ鞭、一本鞭の他にパドル(面で打つタイプの鞭)があれば重宝する。

バラ鞭や一本鞭の代替としても利用できる他、肌に当たる部分が大きいために力が分散され、

顔面(頬)にも利用できる。

パドルで軽く頬を張ってやればそれで息を荒げるM女性も多い。

スパンキングにもパドルは重宝する。

パドルには皮製と木製があるが、

木製をSMの用途で使用するのはいささかハードであるので、買うなら皮製がいい。

その他、女性をポニー(仔馬)として調教するならば乗馬鞭もぜひ一本揃えておきたいところだ。



鞭打ちを行うとあっという間に女性の肌が赤く染まってくる。

どこで止めるかは判断の難しいところだが、

より長い時間鞭打ちを楽しみたいのであれば服の上からの打つのが有効である。

醍醐味という点では裸の状態よりも数段劣るが、それでも雰囲気は十分に楽しむことができる。

ただし、普段着ではあまりに味気ないのでボンデージファッションを揃えておけば裸にも劣らない。



鞭打たれた女性はその苦痛により、または本能的に身をよじることになる。

よって、鞭打ちと拘束(緊縛)は一つのセットとして考えておけばいいだろう。

鞭打ちには吊しや張り付けなどが最も良く似合うが、

設備的になかなかそうもいかないので通常は何らかの拘束を施して自立させる、

あるいは正座や床に寝転ばせて行う。

もし、全く拘束しないのであれば四つん這いの格好が望ましい。

SM先進国ではSM用途の家庭用家具などが専用に販売されており、

中でも鞭打台などは比較的ポピュラーな存在であるが、

椅子やテーブルなどを上手く利用して拘束すれば充分代用になり得るので各自工夫されたい。



個人的経験によって書けば、鞭打ちの最中に彼女たちは、

魔女裁判、広場での晒し刑、地下室での拷問等、

想像の世界で何らかのイメージを膨らませている場合も多い。

(その多くが中世ヨーロッパであるというのは興味深い)

そんな傾向のある女性には目隠しが極めて有効だ。

目隠しにより、女性が鞭打たれながらも想像している頭の中の世界により没頭でき、

更には、鞭打ちのタイミングを予測不可能にするという効果もある。

目隠しをしたら一定のリズムで打ち続けるのではなく、

時にタイミングをずらして、更には強弱をつけて打つようにしよう。

また、イメージ派の女性に対しては、男性側も時に刑士になりきって責めるのもいいだろう。

(要するに、鞭を使ったイメージプレイということ)



鞭打ちの導入は簡単であるが、打つ技術となるとなかなかに奥が深い。

鞭が長くなればなるほどクリティカルヒットが難しくなる。

また、決して力を込めているわけではないけれどもいい音を出すといった技術も有効だ。

一流の捕手が捕球時にミットからいい音を出して投手を気分的に乗せるように、

心地良い鞭の音で女性の気分を高めてやるのだ。

実際の痛みもさることながら、鞭打ちによって発せられる音は非常に重要な要素である。

マニアになると音のために素材にこだわり、あるいは、形状を工夫している人々もいる。

(パドルの穴開けなどはその典例)



時に原始的かつ暴力的な言葉責めの併用により、

よりのめり込めるM女性もいるということを付しておく。



上記の文章を書いていて、ある拷問担当官の手記の一節を思い出したので最後に紹介しておこう。

「拷問の最中、ペニスを勃起させて息を荒げられた時ほど馬鹿らしいものはなかった」


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