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25日

俺の休日の過ごし方はあれこれあるが、遠出をしない場合、そこには一つの楽しみがある。

つまりは、未食の美味しいものを求めて積極的に冒険ランチを楽しむこと。

適当な駅で下りて気になった店に入る場合もあれば、○○で評判の店があると聞けばピンポイントでその店に向かう。

俺はこれを冒険ランチと呼ぶ。

そんな中、長年食べ歩いているにも関わらず未だ満足する一皿に出会っていないもの、それは牛バラ飯だ。

あまり馴染みがない人もいるかもしれないが、中華料理店の中クラス以上の店に行くとメニューに載っていることが多い。

味や肉の量は悪くないのだが、肉がトロトロとは言えない、このパターンが圧倒的に多い。

俺は基本的に出された料理を残さないので、

「うわあ、この店も外れた...」

と泣く泣く牛バラ飯を一皿平らげるとそれなりに腹が膨れてしまい、他の料理を食べる気も起こらない。

神戸の中華街でもダメやな、牛バラ飯は。

俺が今まで食べて一番美味しかったのは横浜の中華街で食べた一皿だ。

ちゅうか、あの味を求めて未だにさまよっているとも言える。

今から15年くらい前だろうか、「どっちの料理ショウで紹介されました」という張り紙につられて入ってみたのが俺にとって伝説の一皿になってしまった。

ついぞそのレベルには関西ではありつけず、あまりに外れの連続で頭に来たので、気が付けば自分で作るようになっていた。

家なら好きなだけトロトロに煮込めるからな。


冒険ランチについていささか補足しておく。

その言葉の響きから、俺がどこまでも飽くことなく美味しい一皿を追求しているように感じられるかもしれないが、それはちょっと違う。

その一皿が心底旨いと思えば、その料理についてはそれ以上の探求はしない。

例えばホルモンについては俺は鶴橋の吉田しか行かないし、天丼なら北新地の天富のみ。

モルモンにせよ天丼にせよ、あちこち探し歩けばこれらよりも安くて美味しい店があるのだろうが、俺はそこまでの必要性を感じていない。

よって、牛ホルモン及び天丼については探索の打ち止めとなっている。

このようにして各分野のナンバーワンを決めるためにあるのが冒険ランチである。

一旦決まればその料理について後は冒険もへったくれもなく、食べたくなった時に行くのみ。

そんな一皿で最も難航し、かつ、諦めたのが牛バラ飯、そういうことだな。


18日

昨今では旅先での食事も事前にネットで検索する場合がほとんどだろうが、それはちょっともったいない。

例えば、ワインなどは普段から安ワインを飲んでいればこそ高級ワインの味の違いもわかるのであって、いきなり舌に覚えのない料理のナンバーワンを食べたところで、一体どれだけその良さが理解できるのか?ということだ。

特に海外旅行においてそう言いたい。

俺の好きな台湾夜市の一つである華西街の最奥に陽春麺の屋台がある。

何の変哲もない普通の屋台なのだが、俺が最初に台湾に訪れた際に何となく立ち寄った店だ。

乾麺と貢丸湯を頼んだが、食べてみてそれが乾麺においてどの程度のレベルの味なのかはもちろんわからない。

けれども、それが美味しいかどうかはわかる。

未食の料理はその程度の食べ方で十分ではないか。

その後、台湾のあちこちで乾麺を食べてみてわかったのだが、俺が最初に食べた店のは明らかに隠し味にウスターソースを使っており、唯一無二の個性的な味であると知れた。

以来、台湾に行った際にはその店の乾麺を食わねば気が済まないようになった。

得てして、何の変哲もない店や味であるにせよ、初めての土地で初めて立ち寄った店が以後のスタンダートになったりするものだ。

だから何も事前に詳しく調べる必要など無く、気になった店に直感を信じて入ってみればいい。

結局、そこがその土地でのお気に入りになるし、それこそが旅の楽しさでもある。

その土地に何度か足を運んで味にも馴染んできたら、そこで初めて特上の店に行ってみる。

ようやくこれで特上の良さも理解できるというもの。

ここで一つ俺流の店の選び方を紹介しておく。

直感や本能に従えば良いのだが、外観の古さや風情は一つのポイントになる。

店が古いというのは重要な要素で、長年に渡って愛されてきた、あるいは、少なくとも潰れない程度には客が来ているという証であり、最低限の味が保証される。

国内旅行であれば古そうな木造建築の店が理想的だ。

得てしてそこが老舗であったり発祥の店であったりする場合が多いので、結局その店がベスト1ということになる。

最初から己の直感でナンバー1の店にたどり着けたのであれば、それはそれ。

そんな楽しみを放棄して事前にネットで検索するのは随分もったいないと俺は思う。

さて、季節は食欲の秋。

存分に楽しもうと思う。


11日

俺はつい最近まで知らなかったのだが、カレーに生卵を乗せるという文化は大阪独特のものだったのだな。

昔からインディアンカレーでは当たり前のように生卵をトッピングしていたので、全国どこでもそうしているものだと思っていた。

ガパオライスに卵がなければ寂しいのと同様、生卵のないカレーはどこか物足りない。

なんちゅうか、味が部分的にマイルドになるあの感じがいいのだ。

卵、卵と言っているが、店ならば使うのは黄身のみ。

家であれば全卵を玉子飯のようにざっくりご飯と混ぜてからカレーをかけるのが俺流。


長年のカレーの謎を一つ書く。

京都伏見で年に3回ほど大骨董市が催される。

たまに覗きに行くのだが、ここの会場名物「母ちゃんカレー」が妙に美味しい。

長年食べ続けているが、謎の美味しさだ。

具は牛肉、タマネギ、ニンジン、ジャガイモと至って普通。

市販のルーを使ってパッケージ通りに作っているようなカレーなのだが、家で作っても絶対にあの味にはならない。

ガラムマサラを入れるとか、チョコレートを入れるとか、そんなカレーではない。

至って普通なのだが、なぜか美味しい。

誰かこの謎を解明して俺に教えてくれ。


9日

連休中もたくさんのメールをありがとう。
栃木のまりあへ。
そちらのメールサーバーの設定により、俺の方からメールを送ることができない。
別のアドレスからメールしてきてくれ。


4日

人生初めてフェラーリに乗った。

否、正確には座ったと言うべきか。

俺の梅田巡回コースに含まれている阪急メンズ館に入ったら、フェラーリの新車が展示してあったのだ。

フェラーリをこんなに間近に見たのは初めてで、四方から熱心に眺めていたら、営業の若い男性から「乗ってみますか?」と声を掛けられた。

一瞬、「えっ!?」と面食らったが、またとないチャンスなので「ええの?」と答えた。

座った時の心持ちは、「うわあ、凄いわ、こりゃ...」が半分。

もう半分は、「えらいボンネット長いな、俺やったら買った初日に前の車にぶつけるわ...」。

長すぎてボンネットの先まで見えないので、常にかなり車幅を取って停車する必要がある。

その点、ランボルギーニなら少なくともフェラーリよりは見やすいのではないか?

しまいには、「なら、俺が買うならランボルギーニか」、などと館内を歩きながら考えていた。

つかの間、夢を見させてもらった。


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