SM 110.com 携帯版トップページへ

SM 110.com パソコン版トップページへ

29日
風呂上がり、サービスでもらった缶チューハイを飲みながら部屋に置いてある冊子で今まで避けてきたAPAホテルについて情報を集める。以下のようなことがわかった。全国主要都市にはだいたいある、コンセプトや立地によって何種類かのタイプがある、値段も場所ごとに違ってくる、同じタイプでも大浴場があるホテルとないホテルがある、次回からはもらったカードを見せるだけでどこでもチェックインできる。次回から旅行に出るときは財布に入れるとしよう。特に俺のように適当な旅を行う者にとっては心強い味方になるだろう。
せっかく旅に出ているのにホテルで食事を取ることほど馬鹿らしいものはない。やはり地元ならではの店に行きたいものだ。横殴りの吹雪ではあるが、昼間にその建物が気になった炉端焼きの店に行くことにする。が、休みだ。その他、日曜というのにどうも福井一の繁華街が寂しい。大半が店を閉じている。通りで目に付くのは風俗の呼び込みくらいのもので、人影はないに等しい。仕方がないのでホテルに戻ってフロントの従業員に事情を聞く。「クリスマスなのに、一体どういうこと?」すると、福井の飲食店は日曜休みの店が圧倒的に多いのだそうだ。これも雪国の文化ということか。それにしても、キタやミナミで毎年繰り広げられるクリスマスの喧噪とはあまりに差があり過ぎる。まあ、これも旅の醍醐味か。のんびりするには丁度いい。ラーメン屋で一杯やって部屋に戻った。

26日
腹が膨れたので宿探し。ちゅうか、探す必要もなくヨーロッパ軒から徒歩15秒の位置にAPAホテルがある。以前TVのドキュメントでAPAホテルの創業者なのか何なのか派手な女性を見たときにあまりいいイメージがなかったので、俺は今までの旅でAPAホテルをずっと避け続けてきた。だが、積雪の中あちこち探し歩くのも面倒なので、心情的にはやむなくAPAホテルに突入。料金はシングルで5100円だった。サービス期間中だそうっで缶チューハイを一本くれた。部屋に入るとよくある普通のビジネスホテル。この時点では可もなし不可もなし。が、3Fにある宿泊者には無料の大浴場に行ってみると点数が急上昇。俺が極めて重要視する水風呂もあり更に加点。朝風呂までやっているようで、「以後、福井市内で泊まるならAPAホテルしかない」とまで思わせるものがある。ビジネスホテルの何が嫌って、あの狭い風呂だ。ところがここは、完全にその悩みを払拭している。実に素晴らしい。水風呂と交互に2時間程湯につかり(注:水風呂がなければせいぜい長くいて30分だ)、完全にのんびりモード突入。一年を総括しつつ来年のイメージをあれこれ楽しむ。実にいい夜だ。今まで俺は勘違いをしていたようだ、すまないAPAホテル、そして、ありがとうAPAホテル!この大浴場が朝夕使えて5,100円とは素晴らしい!

23日
次は繁華街の本通りにある福井ソースカツ丼発祥の店であるヨーロッパ軒を目指すこと徒歩10分。行列を覚悟していたが、25日のクリスマスにして列はなく、あっけなく店内へ。基本のソースカツ丼に俺の大好きなカキフライがプラスされるカキミックスを注文。この店に足を運んだことのある友人知人は皆一様に「旨かった!!」と言うのだが、正直俺は大して期待していなかった。カツを揚げてソースに浸して飯に乗せて完成というのであれば、おおよそ味の見当は付くというものだ。更に俺はだるまの串かつでこっち方面の舌は肥えている。が、出てきたそれは確かに旨かった。本店現地加算をさっ引いても明らかに旨い。ちなみに、本店現地加算とは全く同じものを食べても本店と支店、現地とスーパーの催事会場とでは明らかに味に差が出るという意味だが、ヨーロッパ軒のそれは更に旅情をさっ引いても明らかに美味い。

19日
雪、ちゅうかあられが酷いので地下道でしばし待避。ガイド本をめくると、どうやら福井では冬の蟹以外にも越前蕎麦、ソースカツ丼、ボルガライスなるものが名物らしい。位置を調べると近いようなので、先ずは裁判所の横にある越前蕎麦の老舗へ向かう。通常なら10分程度だろうが、歩道に積もった雪のために倍以上かかる。無事到着、店内は空いていた。今まで土地土地の名物を老舗と呼ばれる店で色々と食べてきたが、どこも平日といえどもそれなりに混雑していたので、いささか拍子抜けする(注:今回の旅で老舗や有名店をあれこれ回ったが、総じて同じ傾向だった)。ガイド本おすすめの越前辛味大根蕎麦を注文。辛味大根は冬に最も辛くなるので、この時期が一番旨いそうだ。出てきたそれは通常のざる蕎麦とは微妙に違う。先ず蕎麦がせいろではなく皿に盛ってある。上にはかつお節とネギ。つけ汁にはおろし大根が混ぜられていて、それに加えて辛味大根が別皿に盛ってある代わりにわさびはなし。更には蕎麦味噌ときゅうり、そして蕎麦湯。味噌を見てたまらず熱燗を頼みそうになったが、また一歩外に出れば大阪人にはいささか歩行が厳しい積雪なので我慢した。辛味大根をわさびのような感じで乗せつつ蕎麦をすする。素朴に美味い。食べ終えて蕎麦湯を啜っていると店の女性が「どちらからですか?」。別にデジカメを取り出して蕎麦を撮影したわけでなし、余程店に馴染んでいなかったのだろうが、後で思えば、ひょっとしたら地元の人はつけ汁を蕎麦にかけてぶっかけのように食うのではないだろうか?

16日
どうやらサンダーバードというのは湖西線経由のようで、この日は風が強くしばしば電車が止まる。あまり直ぐに着いても面白くないので俺的に停車は歓迎だ。琵琶湖も半分過ぎた当たりから車窓はすっかり雪景色となる。持ち込んだ本を閉じて、ぼんやりと眺める。
福井着。駅前は想定外量の雪景色。福井の人にとっては当たり前なのだろうが、俺にとって雪は10年に1、2度積もるか積もらないかの感覚なので、大阪からほど近い福井の冬がこれほど厳しいとは知らなかった。今までも冬に城之崎方面へは何度か行ったことがあるが、ここまでの雪は初めてだ。滑って転ばないように歩を進める。歩く姿を一目見れば地元民かそうでないかは一目瞭然だ。情けない程のへっぴり腰で歩を進める。西武百貨店前を歩いていると、何やら素晴らしい英語の曲が耳に入ってきた。大して音質の良くない屋外埋め込みスピーカーなのだが、実に心に染み入ってくる(帰ってからyoutubeで検索してわかったのだが、これはドリカムのwintersongという曲だった)。今までドリカムといえば7月7日晴れという曲が好きな以外は特に興味がなかったのだが、そこに新たに一曲加わったと共にこの曲は俺の福井のテーマソングとなる。

12日
先ずは最寄り駅から京都駅までキップを買い、そのままサンダーバードのグリーン席に座る。クリスマスの25日だったが、日曜ということもあるのか席はとても空いている。普段はグリーン席など利用しないのだが、オリンパス株でいささか儲けたので贅沢した。京都駅を出て直ぐに車掌がキップの改札に来る。俺のローカル線キップを見て一瞬眼の色が変わったのを見逃さなかったが、別に無銭乗車しようというわけではないのでこっちも堂々としたものだ。「どちらまで行かれますか?」の問に、「今から決めます」とはさすがに言えず、もう少しゆっくり考えたかったのだが、降りる候補にしていた福井・金沢・富山のうち一番近い福井と勢いで答えた。この一言で俺の今回の旅のおおよそが決まった。

9日
みなさん、新年明けましておめでとう、今年もどうぞよろしく。早くも新年9日目を迎えてエンジンは既に掛かっている。ちゅうか、大したウォーミングアップなしにいきなり繁忙期に突入した。年の始めから雑記を休むのも縁起が悪いので、1月分の旅行記を帰りの車内で打ってきた。それをちびちび小出しにアップして、しばしお茶を濁そうと思う。
既に何度も書いたかもしれないが、俺がどこか新しい土地に旅行に行くときは一切予定を立てない。いつも適当だ。しかしながら、結果的にはいつもこれが一番良い旅になる。行ったからにはとスタンプラリー的に強引にあちこち回るのは苦手だ。何より、俺は観光ではなくのんびりするために旅に出る。では、次回より本編。

翌月の雑記へ