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前回大阪に行ったときは1泊だったこともあり、「大阪名物」といわれるものは「がんこ寿司」しか

行けなかったのですが、「もう、こんなにおいしいなら、ほかのお店など行かなくてもいいわ」と思

えるほどおいしく、また、カウンターでの会話も想い出深いものでした。

それにしても「食い倒れ」とはよく言ったもの。

大阪の街は食べ物屋さんしかないのではないかと思うほど、格安で量がどーんと多そうな食べ物屋さ

んが軒を連ねているので、かおるはご主人様に「大阪名物」と言われる食べ物をごちそうしていただ

くお願いをいたしました。

かおるが知る限りの大阪名物は、たこ焼とお好み焼きくらいなのですが、ご主人様がふだん召し上が

っていらっしゃるものをいただいきたいとおねだりいたしました。




<たこ焼>

「大阪には11時に来い。昼はタコ焼だ」とご主人様からのメール。

前回連れていっていただいたときに満員で入れなかった「蛸之徹」ですが、ランチタイムなら空いて

いるだろうというので、スタートはたこ焼です。

「蛸之徹」のテーブルは、たこ焼用鉄板が2枚(1枚に確か16個、丸い穴があったと思います)とふ

つうの平な鉄板がつながっていて、お客さんが自分でたこ焼を焼くことができるのが特徴です。

自分で作って食べるので格別な味がするうえに、ご主人様が高校生くらいのころには「蛸之徹」でデ

ートしたら「親密な仲」になれると言われたくらい、ちょっとしたデートスポットでもあったようです。

オーダーは、ふつうのたこ焼と、カレーたこ焼、そして「そばめし」!

かんじんのたこ焼の前に「そばめし」に反応してしまったかおるなのですが、かおるが知る限りで

「そばめし」など東京では見たことがありません。

「そばめしって東京にないのか? じゃあ、頼んでやろうか?」

関西では冷凍食品にもなっているほどのポピュラーメニューで、焼きそばを焼きながら細かく刻んで、

そこにごはんを入れて炒めるという、「ラーメンライス」も真っ青の炭水化物メニューです。

お味のほうは、焼きそばに、焼きそば味のごはんが混じった味(そのままや!)で、違和感なく「焼

きそば味」なのですが、なんだか不思議。

「関西では、たこ焼やお好み焼は家でも作るし、夜おかずにして食べることもある」ということですが、

お好み焼きにそばを入れたモダン焼に留まらず、ついにはごはんも入れてしまったというわけですね。

「大阪にお嫁に来るには、たこ焼とお好み焼が花嫁修業の課題ですね」と申し上げたら「各家庭の味っ

ていうものもあるからな」とのこと。

いわずもがなで大阪の家庭にはタコ焼き専用鉄板がかならずあるそうです。

そして、かおるもタコ焼武者修行中です。

「蛸之徹」では「たこ焼インストラクター」(店員)がステンレス製の、蓋のないヤカンのようなもの

を持って登場。

かおるが油をひいた鉄板にだだだだーっと水っぽい生地を流し、ぶつ切りの蛸をばらばらっとふりまき、

そのうえにねぎ(関東のと違って万能ねぎのように細い関西ねぎ)を山になるほどかけます。

(これでひっくり返すことができるのか?)と素人は不安になるほどの量なのですが、「これが不思議

と丸くなるんだなあ」とご主人様は平然とタバコを吸っていらっしゃいます。

カレーたこ焼のほうはカレー色をした汁で、こちらはねぎなし。

インストラクターの女性が

「焼きあがったら、そちらにある紅生姜とかつおぶしをお好き好きに入れてください。ただし、カレー

のほうには絶対に入れないでください。カレーの味が壊れますので。それから、ソースとマヨネーズは

鉄板の上には絶対にかけないでください。あとはご自由にやっていただき、なにかあったら遠慮なく呼

んでください」

と厳しく早口で言って去っていきます。

あとは達人ご主人様と初心者かおるの出番です。

ご主人様はやおら天カスを両方のたこ焼に、これまた山盛りにふりかけ、ふつうのほうには紅生姜をた

っぷりとかけていき、あとはしばらく焼けるのを待ちます。

生地がほんのりと焼けてきたかなと思ったら、鉄の串で列にそって筋を入れ、下のほうが焼けてきたか

なと思うものから、くるりとひっくり返していきます。

何回かひっくり返すと、あら不思議。丸いたこ焼になっていきます。

「これはな、焦げてるのと火が通っていないのを位置交換するのがプロの技なんだ」とご主人様は達人

ぶりを披露して、次々と丸いたこ焼を完成させていきます。

ふつうのたこ焼のほうは特製たれ醤油でいただき、カレーたこ焼はソースにマヨネーズをかけていただ

きましたが、ご主人様がおっしゃるとおり、自分たちで焼いたタコ焼には愛情というスパイスがかかっ

ているせいか、一層おいしく感じます。

外側がかりっとしていて、なかがふんわり。

これが大阪のタコ焼なんですね。

かおるたちがしっかり食べ終わるころには、店の外にはやはり行列がでいていました。

早めのランチで大正解。

おいしいタコ焼とそばめしでお腹いっぱいになったところで、その夜は超豪華Wホテルのスイートルー

ムにチェックイン。

かおるはすっかり新婚さん気分です。



(一言)蛸乃徹には連れとしばしば行くが、ちゃんとした完成品を食べることはほとんどない。

腹を好かせた誰かが未完成のタコ焼きを食べ始めると、そいつに全部食われまいと、こっちま

で半焼けを食うハメになる。この現象は焼肉屋でも起こる。今回、蛸乃徹のタコ焼きとは本来

こんなに旨かったのかとしみじみ感じた。





<がんこVSぶっちぎりVSかっぱ>

前回ご主人様にお会いして想い出深いものの一つに、カウンターでご一緒させていただいた

「がんこ寿司」があります。

首輪をつけ、手首にはまだ生々しい縛り模様が残るうえに、真っ赤なボディーコンシャスな服。

見る人が見たらM女そのものという様子のかおるを、カウンター越しの職人の方はどう思われたのかと

今になって思いますが、そのときはとにかくお寿司のおいしいことと、場の雰囲気のよさに感動してし

まいました。

「がんこ」は関西では有名なチェーン店で、お寿司だけでなく、「がんこビル」にはいろいろなレスト

ランがあるそうですが、関東には見た覚えがありません。

それにしても「本店」の目の前に支店が並ぶのは大阪らしく、がんこだけでなく、いろいろな店の系列

店がちょっと歩くだけであります。

方向オンチなうえ、物覚えが悪いかおるなどは、決して大阪の食べ物屋さんで待ち合わせなどできない

なと思いました。

ところで、ご主人様は「もう一度、がんこにも行きたいけれど、今回は別のところに行ってみよう」と

言って連れていってくださったのが「ぶっちぎり寿司」です。

こちらも東京の半分くらいの値段で、それよりもおどろくのがネタの大きさ。

トロもイカも、皿いっぱいに広がるほど。

マグロもカツオもイワシも2枚重ねになっているゴージャスさ!

ただ、生ビールがないことと、お醤油は刷毛で塗るというシステム(無駄がないですね)は若者や男性

サラリーマン向けという感じ。

なにしろ大きいので、たくさん食べられないかおるは3種類くらいでギブアップしてしまいました。

「がんこのほうがいいかな」などとお寿司づいたご主人様?

二日目の夜は「イタリアンに行こう!!」と京都先斗町に繰り出したものの、おめがねに適う店がな

く、方針変更。

「よし、ここにしよう」とチャレンジしたのが「江戸前 かっぱ寿司」

ここでは、サーモンも大トロもなにもかもおいしかったのですが、絶品中の絶品だったのが「カニミソ」

「これはうまいっ! かおるも食べてみろ」とご主人様をうならせたお味は、フォアグラを100倍くらい

とろけさせて海の香りをさせたような、なんとも絶品なのです。

「いやー、いい店を見つけた。連れにも教えてやろう」とご主人様もご満足されておりました。

ちなみに「連れ」とは関西では「同性の仲間、友達」のことだそうですが、関東ではあまり普段は使わな

いですね。

「じゃあ、関東ではなんて言う?」と聞かれましたけれど、強いていえば「ともだち」でしょうか?

「かっぱ寿司」の「カニミソ」を思い出すと、ご主人様もお顔が緩みます。

「京都にはWホテルでの疲れを癒すために、休みに行ったようなものですね」とあとで申し上げたら、

「かっぱ寿司を発見したから意義はあった」と言われました。

確かにあのお店1軒だけで「京都に行った」という価値があると思いました。



(一言)あのカニミソは1カン150円ながら絶品だった。俺の知る限りでは、カニミソを頼むと上に

胡瓜が乗ってくる場合が多いが、あの薄味はせっかくのカニミソの味を落としているように思う。その

点、かっぱ寿司はカニミソだけで勝負しており評価できる。1カン500円の極上大トロも旨かったな。

次はもっと早い時間に訊ねて全品チェックしたいところだ。江戸前といいながら「ずけ」がないのは唯一

の減点か。




<ねぎ焼>

観光などはしなかった京都ですが、新しくなった駅ビルを見学がてら訪れ、ランチをとりました。

延々、10階以上まで続くエスカレーターは宇宙的なデザインの建築物にマッチしてすばらしい景観の

展望台へと続きます。

展望台で「あそこが伏見城、こっちが東寺」と、ご主人様に即席観光案内をしていただいたあと、

ランチはお好み焼きのお店に決定。(店名は忘れてしまいました)

ここでまた、関東では見たことのない「ねぎ焼」というものをオーダーしていただくことにいたしました。

「関西ではどこでもあるけれど、ねぎ焼といえばスジコン入りが基本」と教えていただきましたが

「スジコン」というものも関東にはありません。

牛筋とコンニャク、で、スジコン。これにチクワが入っています。

クレープのような生地に山のような関西ねぎと上記の材料、それからタマゴ(いつ入れたのかは不明)

が入って、ふんわりとふたつ折りに、オムレツのようになって出てきました。

しょうゆ味にしてくださったこともあり、香ばしい卵焼きのような匂いがして、ネギもしんなりとして、

たしかにスジコンと合うお味です。

かおるもこれを機に、お好み焼きの研究をして、いつかご主人様にご満足していただけるようなお好み

焼きをごちそうさせていただこうと心に決めました。

ところでこのお店では、かおるは白いレースのタンクトップと、同じく白でボディラインがきゅうっと

出てしまうようなくるぶしまで長いタイトのスカート、白いパールのネックレスで、昼間からめちゃく

ちゃエレガントな服装でした。

「店員が『イロっぽーい』って言ってたのが聞こえたか?」とあとでご主人様に教えていただき赤面い

たしましたが「鼻が高かった」と誉めていただき嬉しく思いました。

お好み焼きのお店には不釣り合いなほど、セクシーなドレスだったかも…。



(一言)確かにおまえの雰囲気は完全に浮いていたな。職人の視線がお好みを焼きながらもおまえ

の後ろ姿に付き刺さっていたよ。あの店のねぎ焼きは実に上品な味だったな。しかし、仕上げにレ

モンを絞っていないのはいただけない。大阪なら考えられないことだ。やはり、お好み焼きは大阪

で食えということか。




<ホットケーキ>

順序は逆になりましすが、Wホテルは、調度品はシンプルですが、リングのように広いダブルベッド

と大きな窓、ゴージャスなバスローブなど、さすが1泊5万円のお部屋だけありました。

しかしゴージャスなのはお部屋だけに留まらず、備え付けの冷蔵庫にある飲み物は、市販で100円の

ジュースが400円! オロナミンCが500円、レミーマルタンのポケットボトルがなんと3600円! 

ハガキ半分くらいのサイズの袋に入った柿の種などが350円...などなど。

ということで、現実的なかおるとご主人様はコンビニでドリンクなどを調達して、夜中にご主人様は

ざるそば、かおるはイチゴのデザートなどを食べました。

でも、朝はゴージャスにルームサービスです。

ご主人様は日曜の朝、マクドナルドでホットケーキを召し上がる習慣がおありとうかがっておりまし

たけれど、甘いものをあまり召し上がらないご主人様もホットケーキだけは例外のようです。

Wホテルの「パンケーキ」は1000円というリーズナブルなお値段で、

お味はふんわりと、タマゴの香り。

マクドナルドとはさすがに違います。

いつか、ホットケーキの朝食をご主人様にご用意させていただくお約束しておりますので、

たいへん勉強になりました。



(一言)マクドナルドのぺらぺらホットケーキとは格が違ったが、それ以上に一流ホテル

のスイートで朝食をとるというゴージャスさに一般人の俺の心は踊った。かおるの心遣い

に感謝する。




<すき焼き>

いよいよ最後のディナーとなって、ご主人様は「なぜだか今夜はすき焼きという感じがする」と

おっしゃるのですが、すき焼きといえば東京では高級料理です。

「すき焼きっていうのは、大阪では680円くらいで食べられる」というご主人様のお言葉で、またまた

かおるはびっくり。

でも、なぜかレストランは「かに」づくしばかりで、すき焼きはなかなか見つからず、やっと見つかった

のはご存知「くいだおれ」ビルでした。

ピエロのようなくいだおれ人形が店頭にあることで有名なビルなのですが、大阪在住のご主人様でさえも

初体験という観光名所?

ところが!

「黒毛国産和牛すき焼き2980円は5階へ」という案内で行ったほぼ貸し切り状態のお座敷で、仲居のおね

えさんがおっしゃるには「この店はそもそもすき焼きがメインで、60年の歴史がある」のだそうです。

メニューにも「大阪本場のすき焼きはプロの高度な技が必要」と書いてあります。

それもそのはず。味付けは、たまり醤油とお砂糖、酒のみ。

「お客様の前で舐めるわけにもいかないからねえ」という仲居さんは、さりげなく銅鍋に砂糖を入れ、

たまり醤油を入れ、最後に日本酒、そして、きれいな霜降りの肉を2枚さっと入れます。

お料理しながら「あら、こちら、かわいらしいお顔してはりますなあ」と、しっかりリップサービスもして

くれたので、かおるはすでにるんるん気分(ちょっと古いですね)。

「作る人によって味が違うので、まずこうしてお肉を食べてもらいます」と桜色に色づいたお肉を、

割りほぐした卵の器に入れてくれます。

「生まれも育ちも大阪」という仲居さんの「私のは甘すぎるんとちゃいます?」というお味は、

こってりと甘くて、霜降り肉には絶妙としかいいようのないお味。

「いやあ、これはうまいや。うちの味とは大違い!!」とご主人様も早くもご堪能の様子。

ところが、野菜などをちゃっちゃか入れて、「そんなら、これからはおふたりでお好きな味にしてください」

と意味深な笑顔で仲居さんは行ってしまいます。

たまり醤油と砂糖、酒を前に、責任重大なかおる。

「ほんなら、おまえやれ」

できて当然だろうというようなご主人様のお言葉で、おそるおそる味付けをして…

おいしいっ!!!

すき焼きのおいしさは、もちろんタレにもあるけれど、基本はお肉ではないかと思います。

とろけるようなやわらかさとタレの甘さは、カニミソ(前夜)に続く絶頂感!

ああ、ほんとうに幸せなかおる…。

最後は、鍋に残った汁にごはんをいれて「すき焼き雑炊」です。

ごはんをしっかり汁にからめて、割卵を入れて、なんとも甘いごはん…。

これも関西のお味ですね。

「くいだおれ」は「割り下」(すでに味がミックスされたたれ)を使いませんが、

カジュアルなお店では味付けに割り下をたくさん使うので、

ほんとうに「雑炊」のようなごはんになるそうですが、それもまたおいしそうです。

ご主人様によれば、今回のGWグルメの第一位は「最初の1枚の肉なら、カニミソより上かな」

とのことです。

やはり名人の仲居さんのタレに、かおるの味付けはまだまだ修行不足です。



(一言)人間旨いものを食べるとどうしてあんなに幸せになれるんだろうか?スキ焼きを食べて

いた俺の緩みっぱなしだったにちがいない。しかし、おまえは全ての店で俺の横に座ってくるな。

仲居が意味深に言うのも無理はない。次に機会があれば格安「養老スキ焼き」を食べに連れて行

ってやろう。あれはあれで旨いぞ。




<タルト、シュークリーム、プリン>

喰いだおれの大阪を歩いていて気になるのは、大きなパフェ類です。

なかには1800円で、どう見ても10人分くらいの超特大パフェなどもディスプレーしてありました。

「大阪はパフェがとても大きいけれど、あのくらい大きいものをひとりで召し上がってしまう方はいま

せんでしょう?」とご主人様にうかがうと「そうだなあ。あそこまで大きいのを食べている人は見たこ

とないな」というお返事。

パフェも気になったけれど、かおるの目にぱっと入ってきたのが「アンドリューのエッグタルト」とい

うお店。

「エッグタルトって有名なのか?」というご主人様に「ええ、とても」とお答えしたら

「じゃあ、ふたつ買ってこい」

うふふ、嬉しい。

焼きたての直径5cmほどのパイ生地のお皿に入ったカスタードクリーム、といった感じ。

ついでに、もうひとつ名物らしきコピーヌの「極楽プリン」とシュークリームもひとつずつ買い、ホテル

でいただきました。

ちょっと甘いもののとりすぎかと思いましたけれど、3日間ほとんど寝る間もなくご調教していただいて

おりましたから、からだが糖分を要求していたのかもしれません。

いずれもほどほどの甘みで、卵の風味が強くて、本格的なお味。

「名物にうまいものなし」といいますけれど、ちゃんとおいしいものがあるのが大阪ですね。




<天下一品ラーメン>

ラーメン通のご主人様は、最後の食事には「神座」のラーメンを食べさせてくださるとおっしゃっていた

のですが、「あっさりとこってり、どっちがええ?」と聞かれ「こってり」と言うと

「じゃあ、やっぱり天下一品やな」ということになりました。

天下一品ラーメンはチェーン店がたくさんあるらしく、京都のホテルのそばにもありました。

「かっぱ寿司」だけでは腹八分にも満たなかったご主人様は帰りに立ち寄って「こってり」を召し上がっ

たのですが、「京都のはこってり度が足らん」とおっしゃっておりました。

天下一品ラーメンの白くてどろりとしたスープは、いかにも高カロリーに見えるのですが、実は鳥をベー

スにした滋養強壮成分に満ちたローカロリー、健康スープなのだそうです。

にんにくしょうゆづけのニラ、辛み味噌、にんにくなどの薬味がありますが、ご主人様は何も入れないシ

ンプルなお味がお好きとのこと。

かおるはほんの少し辛み味噌を加えていただきました。

「おまえ、抵抗ないか?」とご主人様は驚いていらっしゃいましたが、かおるはこってり味は大好きです

ので、たいへんおいしくいただきました。

「残ったら食べてやる」と言ってくださっていたのに、結局大盛りを平らげてしまったくらいですので。



<最後に>

最後の最後、新幹線に乗る前に、新大阪の地下街にある「たこ昌」で焼き立てのたこ焼を買う、予定だっ

たのに、おなかがいっぱいで断念いたしました。

「たこ昌」は冷凍食品も駅などで販売していますが、前回買ってみたところ「明石焼」のたれは塩からす

ぎてNG。

「たこ焼」もレンジでチンではいまひとつ風味がでないのです。

やはり焼き立ての「しょうゆ味」を食べるのが一番おいしい。

難点といえば、新幹線のなかで匂いがすごいということですけれど。

グルメなご主人様とごいっしょに、おいしいものをたくさん食べることができて、かおるは本当に楽しか

ったです。

次にお会いするときに、また、おいしいものをいただきたいと思っております。

ご主人様、ありがとうございました。

愛してます。

かおる



(一言)次の第一目標は新世界の串カツ屋だな。「ニ度づけ厳禁!!」の注意書きを生で見せてやるよ。

あとは「ずぼら屋」と「いずも屋」に行けば関西のメジャーどころは制覇したことになる。

そこからがいよいよ関西ディープB級グルメの始まりだ。

でも、俺って一応調教師なんだよ。

こんなこと書いてていいのかな?

これじゃあ威厳も何もあったもんじゃないな。

まあ、いいか。

これも本当の俺だし。




●串カツ

大阪B級グルメ・ツアーもだんだん佳境になってきました。
今回は「2度浸け厳禁」マナーで有名な串カツからスタートです。
「せっかく大阪に来たんだから、通天閣を見せてやろう」
NHK朝ドラ「ふたりっこ」で全国的に有名になったというご主人様のガイドで見る通天閣と周囲のアーケード街は、「レトロなSF」に出てくる「未来の宇宙都市」のようです。
ご主人様が若いころ、よく通ったという「ジャンジャン横丁」では、狭い通りの両側に、昭和三十年代の映画のワンシーンのような、小さな店が並んでいました。
入り口のところにあるジュース・スタンドには、赤や黒のジュースとは思えないような色の液体が入っていて、しかも5つ並んだミキサーは全部違う形。
タイムスリップしただけではなくて、どこか次元の違う世界に迷い込んだような、小さな歓楽街です。
日曜だというのにほとんど人影はなく、老人ばかりが行き交っているところもSF的。
古びた建物のなかには将棋盤が並ぶ「将棋会館」とか、いまにも壊れそうなドアのバーとか、いまにも「じゃりんこチエ」がそのへんから顔を出しそうな横丁です。
そんなレトロな町並みのあちこちには「串カツ」ののれんを見つけることができます。
「小さいころによく召し上がったものは、やはり串カツですか?」とうかがうと、
「そうだな。あとはコロッケかな。肉屋で作っているやつな」
串カツと書いてある店の多くはドアもないスタンドバーのような感じで、なかには串カツだけではなく、お寿司などのメニューも並んでいるところもあります。
早くも夏の兆しで、歩いているだけでも汗ばんでくるというのに、狭いカウンターに肩を寄せ合うようにして串カツを食べるというのは、なんだかいかにも「大阪」です。

「串カツはどこにもあるけれど、おまえには行きつけの店に連れていってやる」といってご主人様が連れていってくださったところは、小さな路地を入っていった先の角にある、やはりスタンド形式の串カツの店「赤坂屋」
15人も入ればぎゅうぎゅうになりそうなカウンターでは、おとうさんと若い職人さんのふたりが(大阪人にしては)寡黙に働いています。目の前には、寿司屋のようにいろいろな串揚げのメニューが並んでいて、
「これに書いて」と渡されたメモ用紙にオーダーを自分で書き込みます。
「そうだな。串カツ2本、レンコン1本、うずら1本・・・」
「御主人様、それはかおるの分も入っているんですか」
「俺の分だけだ。おまえの分は適当に足せ」
「はい、わかりました」
かおるは自分の分も1本ずつ足して、オーダーしました。
串カツができあがる前に、まずはビールです。
「ぷはぁっ」
すでに極楽気分。
思わず「うまいっ」と声が出る、ビールのおいしい季節です。
「今日はビールは1杯にしておかないとな。眠くなったらいけないから、おまえもほどほどにしておけよ」
「かおるはそんなにおなか、すいてないですから・・・」
「そんなこといって、結構食べるんじゃないか?」
かおるは、もちろんはじめてお会いするときのような恐怖感はすでになくなっているものの、ご主人様にお会いするときはべつの緊張感があって、前夜はいつも眠れないのです。寝なくちゃいけないと思っていても、興奮してしまいます。
いざお会いしたときにもその興奮が残っていて、今度は別の「お会いできた」という悦びもあって、胸がいっぱいで食欲どころではない・・・・・・はずなのですが・・・・・・・
ステンレスのバットに並んで出てきた串カツは、黄金色の衣がふんわりとついていて、どれが何だかまったくわかりません。
さすが地元のご主人様は、
「これが玉ねぎだな。これがうずらか」とか見分けていらっしゃいます。
カウンターには縦10cm×横20cm×深さ10cmほどのステンレス製バットの蓋つきと蓋なしがふたつ、ところどころに並んでいますが、蓋つきのなかにはキャベツ、蓋なしのほうにはソースが入っています。
キャベツは透明なぶっかき氷と一緒に入っていて、ぱりぱりしていていかにもおいしそう。
串カツの合間に、このキャベツもソースを浸して食べれば、栄養バランスもいいし、口なおしにもさっぱりしていいという一石二鳥のアイデアです。

「串カツはどこでも似たようなものなんだけれど、ここのはソースがうまい。唐辛子が入っているのはわかるんだけれど、おたふくソースじゃないかと思うんだけどな」
ご主人様がおっしゃるように、ソースの表面には少し赤い唐辛子粉のようなものが浮いています。
ソースといってもどろどろしているのではなく、さらりとしたウスターです。
そこに串カツを思いきって全部浸してしまいます。
うわっ、辛そう。
でもご主人様の真似をして、かおるもやってみました。
上品ぶってソースを少ししかつけないと、もう1回浸けたくなってしまうわけで、それはルール違反。
そうしないためにもたくさん浸さなくてはいけないのです。
東京だったら「串揚げ」というのでしょうが、いただいた串カツは東京モノよりはひとまわり半は大きいように思えます。
外側がかりっとして、内側がふわっとして、ソースの甘い味、というのは「たこ焼」にも似ています。
そして、またもや東京にもないメニュー発見。
「どて焼って何ですか?」
「どて焼を知らないのか? じゃあ、頼んでみろ。こっちじゃ定番だ」
出てきたものは、ハツのような内臓(?)を甘辛い味噌だれにまぶして焼き鳥のように串に挿したもの。
唐辛子がぴりっと利いた味噌味で、「モツ煮」のような食感。お肉がとろりと軟らかくて、内臓ならではの味というか、臭いというか、独特の味で、これはこれでビールにあいます。
「あまりたくさんはいらない」といっていたかおるが、結果的にはご主人様よりたくさん食べていたような気がします。
「いいじゃないか。ダイエットとか言って食べない女より、俺はたくさん食べる女のほうが好きだ」と子主人様は言ってくださいますけれど、調子にのって食べ過ぎて、今回はおなかがいつも以上にぷっくりしてしまってお恥ずかしい次第です。

●中華

ご主人様は「中華」がお好きなのだそうですが、それは豪華な中華ではなくて、定食のあるような中華がいいそうです。
そこで、大阪の代表的なカジュアル中華の「..=vで夕食をいただくことにいたしました。
ビールと餃子、卵ときくらげの炒め物、なすと豚肉の炒め物などをオーダー。
餃子は焼き餃子、水餃子、揚げ餃子とあるなかの「焼き餃子」にしたのですが、一列がぺたっとくっついているやわらかさで「ぱりっ」とした食感がいまひとつ。
「ちょっとやわらかすぎるなあ」とご主人様もやや不満そう。
炒め物などをいただいて、かおるは満腹に近くなりましたが、ご主人様は絶対に足りていなさそうです。
「まあいいか。もう1軒行こう」
「ちょっと気になっているところがあるんだ」という店は、宿泊するホテルからよく見えるところにある(朱)というラーメン店。かおるも気になっていたので、大賛成で行きました。

ざっくばらんな(別の言い方をするとごちゃごちゃ小汚い)店と違って、こぎれいな造りで若者に人気がありそうなインテリアの(朱)(正しくは、朱の文字を丸で囲んである)では、赤ラーメンと餃子、高菜焼めしをオーダー。
赤ラーメンは文字通り、汁が朱色で、ぴりぴりとした唐辛子味がするものの、見た目ほどは辛くなく、麺は長浜ラーメンと同じ乾麺っぽいので、案外あっさりしています。
高菜焼めしもさっぱりしていて、ご主人様も「食べ過ぎだ」といいながらもしっかり召し上がっていらっしゃいました。
餃子はといえば、ワンタンのような小さいサイズで、ひらひらしている形が独特です。
10個ほどで一皿200円とは安いと思いましたが、大阪にしてはあまりにも上品な大きさ。
お味は・・・・といま思い出そうとしているのですが、おいしかった、けれど強烈な印象は・・・。
というよりも、はっきり言って、食べ過ぎです。

●カツ

前日に串カツを食べたのに、翌ブランチもカツになりました。
最初は「焼き肉」という案があったのですが、お目当ての「安くておいしい」焼き肉屋さんが大行列だったので、隣りの「もとや」というカツのお店に変更。
ここではご主人様はイタリアン・ソースのかかったチキンカツ、かおるは鳥もものカツ。
カツといえば刻みキャベツがつきものですが、この店ではキャベツ用ドレッシングがあり、ごま味でGOOD!
小皿に入った中濃ソースが出てきたので「これは何をするものですか?」とご主人様にうかがったところ、「カツをつけて食べるんだ」とのこと。つまり、大阪ではカツのうえにソースをどろりとかけるということはせずに、ソースに「浸ける」というのが基本のようでした。
「こっちのはあまりうまくないな。おまえのほうが正解だな」
ご主人様はかおるのカツをつまみながら「こっちも食べてみろ」とくださいましたけれど、トマト風味のイタリアン・ソースはさっぱりしすぎてパンチに欠けます。
大阪ではやはり「食べた!」と実感できる濃厚な味のほうが「らしい」ですね。
ところで、大阪のレストランで感心することは「相席」ということが(めったに?)ないことです。
お昼の混雑するところで行列していても、4人用テーブルに見知らぬ人が座るということはありません。
「何人ですか? ふたり? じゃあ、こちらのおひとりさまをお先していいですか?」など、空いた席に応じた順番になっても文句を言う人もいません。
しかし、このランチはなんだか不満。
なぜかなあと思ったのですが、帰宅して、グルメ日記を書いて、はじめてわかりました。
ご主人様、かおるがなぜ不満だったか、わかりますか?
テーブルがふたり席だったんです。
つまり、ご主人様と向かいあって座ったのですけれど、(これは京都のお好み焼き屋さんでもそうでしたね)かおるはご主人様のお隣りに座るのが好きなのです。
でも、これから夏になると暑いでしょうか。
そういえば、串カツ屋さんでご主人様はすでに汗だくになっていらっしゃいましたものね。