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かおるは自分から望んで愛奴にしていただいたというのに、それを拒絶はしないけれど、

「かおるは奴隷じゃない」とか思ったりすることがある。

そう書くとまるでご主人様の教育が悪いようだけれどそうではなくて、

「かおるは本当のMじゃないんじゃないか」と思うことがあるのだ。

最近はご主人様のサイトをまったく訪問しなくなったので、

どんな奴隷たちがどんな調教を受けているのか(いないのか)まったくわからないし、

かおる自身調教されているのかどうかよくわからなかったりする。

なんだかふつうのコイビトみたいで嬉しいのだけれど、

それはかおるがそう望んでいるからご主人様がそうしてくださっているだけかもしれないし、

ご主人様からすればコイビトよりも愛奴のほうがランクが上みたいだから

コイビトみたいといって喜んではいけないのかもしれない。

でも、ご主人様によれば「撮影も立派な調教」ということだし、

「縄で縛られて感じるのがMでなくてなんだ」と笑われる始末。

かおるはやっぱりMなんだろうか。

同じMなら、いつかご主人様に「あいつは真性Mだったなあ」と、

タメイキと共に思い出していただくMになりたいものだ。

そんなかおるが遅れ馳せながら読んでいるのが、アン・ライスの「眠り姫」シリーズだ。

アン・ライスといえば「インタビュー・ウィズ・バンパイヤ」などのヴァンパイヤものの作品で

有名な女流作家だが、彼女が偽名を使って発表したSMファンタジー小説が

「眠り姫、官能の旅立ち」「眠り姫、歓喜する魂」「至上の愛へ、眠り姫」の3冊。

これは「眠れる森の美女」でも有名な「眠り姫」というファンタジーの続編という形をとっている。

文庫本ではなぜか「扶桑社ミステリー」というミステリーに分類されているけれど、

これは18禁アダルトSMノベルなのである。

タイトルとアン・ライスで手にとったかおるは、内容を見てびっくりした。

「アン・ライスがなぜ?」と思うが

「自分が読みたいエロティック小説がなかったから」という理由だそうで、

「書いているあいだじゅう感じていた」と言わしめることでも

その内容がどんなにエキサイティングか想像がつくと思う。

王子様に目覚めさせられた(そして寝ている間にいきなりバージンを奪われた)

若干15歳くらいの美しい眠り姫は、近隣の王子・王女が(行儀見習いとして)

奴隷調教されている城に連れていかれ、愛奴として寵愛を受けながらも調教される。

自尊心や人間性を否定し、王子や王女という身分を剥ぎ取られながらも気品を失わない奴隷である

ための調教生活によって、眠り姫は開放され、成長していく。

物語のなかでの調教のメインは「チョウチャク」つまり、スパンキング。

奴隷たちはいつもオシリを真っ赤に腫らして涙だらけの顔で這いずり回っている。

鞭やパドル(ヘラのようなもの)で打たれ、壁や庭にしつらえた柱にぶら下げられ、

あるいは体中を下僕たちに犯されまくったり、ときにはご褒美としてほかの奴隷を虐待したり・・・

そうしたことはご主人様たちの気紛れで行われる。

反抗した奴隷たちはからだを二つ折りになるように縛られ、吊るされ、

丸出しになった性器をいつまでもいたぶられるという「お仕置き部屋」もあって、

奴隷はまさしく肉奴隷であり、性の玩具とされるのだ。

眠り姫はだれよりも寵愛され、尊敬され、愛され、それゆえに陵辱され、調教される。

だが、その気品と感性は調教されればされるほど光り輝くばかりの美しさを放つ。

調教の数々によって眠り姫は不思議な官能と自己の性を認識し、

そしてさらに自己追求をすべく(あるいは押さえ切れないほどの好奇心によって)、

愛奴でありながら自ら反抗態度をとり、王女にあるまじき陵辱を受ける世界に身を投じる。

かおるはまだ1冊しか読破できていないのに、感想文など書くのは早いかもしれない。

でも、Mについて、あるいはSMについて関心がある女性はきっと「感じる」んじゃないかと思う。

もっともファンタジーだから美男美女ばかり登場するし、

スカトロやら生活臭が感じられるようなことというのはまったくないので、

ダメな人もいるかもしれないけれど。

「かおるはスパンキングとか興味なかったけれど、読んでいてドキドキしてきてしまいました」

とご主人様に電話でご報告すると、

「おまえ、磔になって感じてたじゃないか。それもスパンキングも同じだ。今度やってやろうか。

おまえのことだからきっと感じるぞ」と言われた。

手足を拘束され、蚯蚓腫れができるほど鞭で打たれ、泣いても泣いても許してもらえなかったら・・・

と想像したら、なんだか濡れてきてしまった。

ご主人様の関心を引きたくなったとき、かおるは眠り姫のように、

わざと罰を受けるようなことをしてしまうかもしれない、と思った。

ところで、眠り姫を100年の眠りから解き、新たな道を示した王子とはどうなるのかということも、

ちょっと気になるところ。

おとぎばなしのエンディングはいつもハッピーエンドだけれど、眠り姫にとっての幸せな結末?

Mの道を開かれたかおるは、ご主人様とファンタジーの真っ只中にいる・・・。