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御主人様、なみです。

もう2日も経ってしまったなんて、時間の流れというものはとても速いですね。

先日のご報告です。

でもとても長くなりました。

お手数お掛けしてしまいますが、どうぞよろしくお願い致します。


今、ずきずきと妙に疼く身体をなんとか保たせながら、PCに向かっています。

なんとか落ち付いて、メールを書こうと、暖かいお風呂に入ってきたばかりなのに、

ぼうっとして長湯してしまったせいか、余計に火照ってしまったようです。

バスルームに続く洗面所の大きな鏡に写された、お風呂あがりの少し赤味を帯びた自分の身体に少し手を這わせてみると、

なぜかしら背中がひりひりと痛みました。

身体をよじり、鏡に写してみたら、背中の丁度真ん中の背骨に沿って出来ていた、小さな傷を見つけました。

後ろ手に縄で縛られ、ベッドに転がされたときに、擦ってしまったのでしょう。

傷になって、痛むのに関わらず、

「・・・もうしばらくの間、このまま身体に残っていて・・・」

なみはそんな事を切実に思ってしまっていたのです。

手首にまだ残る、縛られた三条の縄の跡にそっと舌を這わせながら、

御主人様と一緒の時間を過ごすことが出来たあの一日を、今、ゆっくりと思い出しています。

お約束のお時間に遅れないようにと、早めに家を出たのに関わらず、乗り換えが分からず右往左往と迷った末、

初めての待ち合わせのお時間に遅れるという大変な失礼をなみは侵してしまいました。

家を出る時には、不安と緊張で吐き気を催すぐらいだったのに、

あの時には、本当にそんな事は何処かにいってしまっていたのです。

メールで「遅れます」とご連絡は差し上げたものの、

初めての待ち合わせに遅れるような馬鹿者はこのまま見捨てられてしまうかもしれない。

もう呆れられて、帰ってしまわれていたらどうしよう。

そんなことばかり、なみは考えていたのですよ。

通りすがりの方に道を教えてもらって早足で、待ち合わせ場所に着いた時。

あの時には全く気がつかなかったのですが、

今思えば、既に外に出て待っていてくださったのですね。

待ち合わせの場所に着いた途端、再び緊張が戻ってきた震える指で、携帯のメモリー検索を行おうとしたその時。

「なみか?」

近づいてくる足音と共に、すぐ斜め前で掛けられた声。

準備期間の半年を経て、やっとお会いすることが叶った「御主人様」が、

優しい笑顔を称えて、すぐ目の前に立って下さっている。

その瞬間、なみは息がつけなくなるほどの苦しさに襲われていたのです。

本当ならばご挨拶を初め、遅刻してしまった事などをもっと丁寧に謝らなくてはならなかったのに、

あの時のなみときたら、とても見るに耐えないものだった気がします。

本当に申しわけありませんでした、御主人様。

もうあの時にはパニックを通り越し、呆然としてしまっていたのです。

正直な事をお話してしまえば、御主人様のお顔も、あの時点では拝見しておりませんでした。

ただ、御主人様の背中をちらちらと眺めながら、影を踏まないようにと、後ろをついて行くのがやっとでした。

恥ずかしくて、向かい合わせの席にも座れずにコーヒーを口に含みながら、

平静を装っていたなみが我に返ったのは御主人様から発せられた言葉。

「じゃあ、これからホテルに行くからな」という一言でした...

狭い待合室での頂いた御命令も初めての事。

2回の失敗を得て、なんとか行うことが出来たなみでしたが、思い返してみれば、

あの時も、なみは御主人様のお洋服を汚してしまうと言う失礼をしてしまいました。

(思い返すと、お恥ずかしい限りです。)

部屋に入ると、持っていらっしゃったリュックから取り出された今まで見たことも無いお道具の説明。

あの時のなみのドキドキは、御主人様に伝わってしまっていたでしょうか。

「大丈夫、恐くない、大丈夫・・・」

何度、心の中で繰り返したことでしょう。

何度も何度も繰り返して、

そして、気がついた時には、手足に真っ白な拘束具を装着され、なみは椅子に固定されておりました。

下着の中の敏感な部分に、バイブレーターを当てられ、両手は椅子の後ろに固定。

足も御主人様から良く見えるようにと交差し、広げられ同じように固定。

ブラウスのボタンを御主人様が一つ一つ外され、はだけられるなみの身体。

御主人様の暖かい舌が胸に触れたときには、もうどうにかなってしまいそうでした。

口枷を噛まされ、声さえ自由に出せない。

それどころか、気を抜くと口の端から透明な糸を引いて服に落ちて行く雫。

必死で顔を上に向け、耐えるのが精一杯。

そんななみに御主人様からのとても厳しい一言。

「下を向いて、涎を垂らしてみろ」

スカートとブラウスに滴り落ちる幾筋もの雫を見ながら、

向けられたカメラからのシャッター音をなみはどこか遠くで聞いていたように感じました。

そして拘束が解かれ、下着を脱いで、手渡すようにいわれた時には、ため息しか出ませんでした。

なるだけ、汚れてしまった部分を内側に丸めてお渡ししたのに関わらず

それは、なみの目の前で広げられ、御主人様の目に止まってしまいましたね。

「・・・こんなにして・・・自分で触って見ろよ」

その時にはもう、分かっていたんです、御主人様。

今まで味わったことの無い恥ずかしさに戸惑う気持ちとはうらはらに、

その時のなみの身体は既に自分でも考えられないぐらい潤んでしまっていたのですから。

そのまま、ベッドに上がるように仰られ、そこで行われた数々の事。

再び、手足を拘束され、今までに一度も無いくらいに広げられた両足。

シャッター音がするたびに、レンズ越しの御主人様の視線を痛いぐらいに感じてしまい、

恥ずかしさのあまりに目の前が涙で霞んでしまっておりました。

しかしそれと同時になみは「疼きに似た熱さ」をも感じていたのです。

広げられた足の間からじわじわと身体に染み込んでいくその熱さに、

今までなんとか保たれていた「理性」というものは徐々に溶かされていくようでした。

そして、次の瞬間に与えられた、あまりに強い刺激。

「今度言ったら口枷をする」と、言われたのに関わらず、無意識のうちに口走ってしまったその言葉に、

声も出せない状況に自らをおとしめてしまったなみ。

あの時は、ただ身体がおかしくなってしまいそうで、恐くて仕方が無かったのです。

家を出るときに、思ったのです。

「御主人様の前では絶対に涙はこぼしたくない。もう、今までに沢山泣いてきたのだから、

 絶対にお会いしたら涙はこぼさない。泣き虫のみっともない「なみ」と思われるのだけは絶対に嫌。」

そんな事を心に決めてきたのに。

その頃には、もうなみの顔は涙でぐちゃぐちゃ。

身体だけでなく、声さえ奪われ、そんな中で与えられる強烈な刺激。

そして、ふと、身体を突き抜けた鋭い感覚に、もう身を委ねる他、選択の余地など無かったのです。

そしてそれは、その後、続けて何回も身体の中を貫いてゆきました。

今まで味わうことの無かった、本当に新しい、凄いくらいの感覚。

以前、お電話で感じたものと同じであり、そして、それよりも数段強くて。

正に、「苦痛にかぎりなく近い、快感。」

いまでもなみはこの他に言葉が思い浮かばないのです。

口枷と拘束を解いて頂いたというのに、起上がる事も出来ず、

寝返りをうつのもやっとのなみは身体中で自分の鼓動を感じていました。

そしてそんななみに掛けられた御主人様のお言葉。

「不感症どころじゃないな、かえって敏感なくらいだ。

 こんなことで今まで悩んでたのか・・・」

絶対に涙は見せないなんて、もうとうの昔に忘れておりました。

恥ずかしいくらいに、溢れてくる涙を押さえきれずに泣きじゃくるなみの髪をその間中、

優しく撫でてくれた暖かい大きな手。

「なみは今、御主人様に包まれているんだ・・・」

まるで母親に抱かれている赤ん坊のように、身体中でなみはそれを感じていたのです。

そして、その後、御主人様自身を身体に受け入れた瞬間の「あの感覚」は、

前のものよりも比べ物にならないくらい、一瞬、心臓が動きを止めてしまったと思えるほどに、強く激しいものでした。

内臓に直接響いてくるような鈍く重い衝撃と声も出せないくらいに沸きあがってくる快感に耐えられず、

本当は「もう止めて下さい」とお願いするつもりだったのです。

でも、なみの口から出たのは自分自信でも信じられない言葉でした。

「もっと、激しく・・・してください」

より一層、激しく身体を揺さぶられながら、身体の底から沸きあがってくる熱い熱い衝動に力を奪われて、

身体を引きつらせながら、それから10秒もたたないうちに、意識がふと遠のくのを感じました。

どれくらいの時間、なみは失神していたのでしょうか。

すごく長いようにも感じられたし、あっという間の短い時間だったようにも思うのです。

気がついた時には、白い天井をぼんやりと眺めながめていました。

両足を閉じることさえ出来なくて。

だらしなく四肢を白いシーツの上に投げ出したまま。

未だじんじんとあつい余波に身を任せながら。

初めて、「これが女性の身体なんだ」とあの時、感じました。

そして、やっと今なみは本当の意味で「女性の身体になった」と、

それを足先から髪の一本一本に至るまで、全身で感じたのです。

今まで、余計な刺激を与えられることの無かった「なみ」の身体は、

きっと今日、この日を迎えるためにここに存在していたのだと、

そんな事まで思わずにはいられませんでした。

ふと、顔を挙げると、大きな背中が見えたのです。

御主人様の大きな身体。

そう、この方が、私の「御主人様」

「なみの御主人様」なのだ。

「もう大丈夫なんだ。なみはこの方に全てをお任せして良いのだ・・・。」

あの時、なみは確かに、思い出しても涙が滲んでしまうほど、恐ろしいぐらいの安定感に抱かれておりました。

男の方と一緒に歩く時には、女性は男の方の三歩後ろを歩くものだと、幼い頃より母から教えられた通り、

御主人様のお隣に身体を置くことは出来なかったけれども、随分と冷え込んだ夕暮れ時の街中、

御主人様の大きな背中は、お会いしたときよりも、ずっとずっと大きく、頼もしくなみには映っていたのです。

その後、お食事を御一緒させて頂いて、どうせ同じ方向だからと、駅まで送って頂いた時にも、

すぐ隣に、目の前に感じる「御主人様」という存在に、半ば、なみは酔っていた気がします。

駅に着いたのに、別れ難くなってしまっていたなみに、

「これからデジカメを見て帰ろうと思うが、一緒に来るか?」

という言葉はとても嬉しかったのですよ。

デジカメの事など、何も分からないのだけれど、

もう少し、もう少しだけ、近くに御主人様を感じていたかったのですもの。

そして別れ際、何かご主人様のものを頂きたいと無理矢理おねだりしたなみに、

リュックのポケットから青いバンダナを出してくださいました。

「結構使ったやつだぞ」と、笑いながら仰られた御主人様。

とてもとても嬉しくて、頬を緩ませながら、心の中でなみはスキップを踏んでおりました。

見送られるという事が苦手ななみは、駅のホームに上がる階段の前で、御主人様をお見送りさせて頂きました。

本当は電車に乗るまで、お見届けしたかったのだけれども、

実行してしまうと名残惜しい気持ちが押さえきれなくなってしまいそうだから、じっと我慢。

最後に振り返って大きく手をふってくださった御主人様のお姿は、今もしっかりと覚えております。

今、手元に、頂いたバンダナがあるのです。

家へ帰って、キッチン用の密封パックに入れて保管したのですが、

鑑賞して、たまに頬擦りなどしてしまったりしています。

手にとって顔を埋めると、かすかに御主人様の薫りがするのです。

おかしいですよね。

御主人様はお笑いになられるでしょうか?

長い眠りの末の一瞬の夢だったのではないかと不安になるなみに、このバンダナと身体に残る痛みだけが、

なみに「本当の事だったのだよ。無事にお会いできたのだよ」と語りかけてくれるのです。

次にお会い出来るのは、いつなのでしょうね。

段階を踏んで徐々に激しい内容になると仰られていました。

しっかりと肝に命じて、その日が迎えられるように、今から心の準備を始めておきます。

まだ、なみはスタートラインに経ったばかりなのかもしれません。

他の皆様とは比べられないくらいの、未だ小さな存在です。

なみは、器用なほうではないので、その歩みはとてもゆっくりで、御主人様を呆れさせてしまうかもしれません。

思い返せば今回、幾つ失敗をやらかしてしまったことでしょう。

許して頂いたけれども、二度とあのような事は無い様に気をつけます。

次回に向けてのよい教訓となりました。

いつか、もうお前なんか要らないと、言われてしまわれたらと思うと困ってしまうのですが・・・

どうか、待っていて下さいね。

なみは、なみなりに、頑張ってまいります。

なにかと手間のかかる「なみ」ですが、御主人様の大きな背中を見つめつつゆっくりと歩んでまいります。

まだ覚えなくてはならない事は山のよう。

そしてその倍以上、教えていただきたい事があるのです。

「もっと沢山のことを知りたいし、身体で感じてみたい」

欲求がとても強く心の底から沸きあがってくるのを今、感じております。

貴重な一日を与えてくださって、本当に感謝致します。

御主人様、有難うございました。

そして、これからも、どうぞなみをよろしくお願い致します。



なみの大切な御主人様へ

なみ


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御主人様、お仕事お疲れ様でした。

今日は午後からお天気が崩れると言っていたのに、今も外は綺麗な星空がひろがっています。

カーテンを開けば、見事なくらいの銀の半月です。

買い物から帰ってきて食材を抱えたまま、ふと空を見上げたらそれらがあまりに綺麗で、

暫くなみは見上げていたのです。

そしたらいつのまにやら足元に猫が擦り寄ってきていました。

ごろごろと喉を鳴らしながら身体をすり寄せて、

そのうちにカリカリと前足で「ごはんの催促」をはじめられてしまいました。

あまりの可愛らしさに、明日、サンドウィッチを作ろうと買ってきたパックのハムを空け、

一枚あげてしまったのですが、気がついたら周りに猫がどんどん集まってきてしまって・・・。

結局、6匹の猫達に買ってきたハムを2パック、献上してしまいました。

明日のサンドウィッチはレタス、卵、チーズなどの野菜サンドに決定です。


昨日、今日となんだか身の回りで不安になるような事ばかり起きてしまって随分とため息をついてしまいました。

でも、そんな時は御主人様から頂いたバンダナを抱いて、ほっと一息。

ずっと身につけていればいいのだけれども、そうしたら御主人様の匂いが消えてしまいそうなので、

このごろはパックごしです。

でもしばらくそんなことをしていると、だんだん切なくなってしまって・・・

結局、我慢できずにパックを空けてしまうなみなのです(笑)

明日は、また元気ななみメールをお送り出来ますように。

おやすみなさい、御主人様。

また明日。


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何気なくふと空を見上げて、考えたことがありました。

それはなみと御主人様が出会う事ができたこの奇跡について。

1900年代後半に同じ日本という国に、日本人として産まれた事。

なみが人間の女性に産まれて、そして御主人様が同じく人間の男性に産まれた事。

御主人様が「S」の方であったこと。

なみが(恐らく)「M」であること。

そして、PCに触れるようになって、御主人様のサイトに出会えた事。

悩みに悩んで、メールをお送りしたなみに、御主人様はすぐにお返事を返してくださいましたね。

これらの歯車がほんのちょっぴりでも狂ってしまっていたならば、

なみは御主人様に出会うことなど無かったかもしれません。

真冬の街角で、寒さに震える子猫だったかもしれない。

男性に産まれていたかもしれないし、

もしかしたら、未だこの世に存在さえしていなかったのかもしれない。

時が経つに連れ、これらの「奇跡」はあれからなみに沢山の事をもたらしてくれました。

「なみには御主人様がいる」と言う精神的安定。

それに伴なう身体の変化。

そして日々少しづつ産まれつつある自分に対する自信。

同じく御主人様をお慕いする方々との交流は、なみの「安定」をより確実なものへと導いてくださいましたし、

今は「なみを理解してくださる方々」としてただの一人も失いたくはないと思える大切な存在となりました。

ちょっと前まで御主人様と出会う事が出来ただけでも十分だと思っていたのに、

このごろのなみはだんだんと欲張りになっています。

いつまでも、この奇跡が続いて行きますように。

楽しく、ゆっくりと、時間が過ぎて行きますように。

いつか御主人様を囲んでお茶会でも開けたらとても素敵。

きっと笑顔の皆様に囲まれて、同じく笑顔の御主人様がいらっしゃる。

それが遠い未来のことなのか、すぐ先にある事なのかは未だ、わからないけれども。

いつの日か、必ず叶うであろうその事に思いを馳せながら、

今、なみは御主人様のお傍に置かせて頂いているのです。


御主人様へ

なみ


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御主人様、寒い日々が続いております。

コタツがあれば、きっとなみは「こたつむり」になっているでしょう。

冬の間、冬眠できたらどんなに良いだろうと、そんなことさえ考えてしまう今日この頃です。

昨日の日中、バトルロワイアルのホームページなどを見てしまったせいでしょうか、

昨夜、とても恐い夢を見てしまいました。

気がついたら教室で、机に座っていたのです。

(なんと、なみもセーラー服を着ていました・笑)

一人一人、黒板の前には女の先生がいて、何やら話していて・・・。

突然「では皆さん、リュックの中の武器を出して見てください」などと言い出したのです。

他の生徒に習い、恐る恐るリュックを開けてみるとなにやら武器らしきものが入っていたのですが・・・

周りの生徒はみんなマシンガンなのです。

なみの武器は、なんと彫刻刀が一本のみ!

つかさず、女の先生が近寄ってきて一言。

「○○さん(なみの旧姓)、貴方がハズレなのね。大変だけど、頑張って生きて帰って来てね・・・」

そういって握手されました。

後ろではガチャガチャと他の生徒がマシンガンをセットする音。

「・・・殺される・・・」

と、そう思った瞬間に目が覚めました。

そんなに強く、頭の中に残ってしまっていたとは驚きました。

本当にとても、恐い夢だったのです。

しかし、夢の中の事ながら、何故、一人だけ彫刻刀だったのかが、未だに解せないなみなのでした。

(不公平すぎると思いませんか、御主人様・・・もう、泣けちゃいます)

御主人様の夢は未だに見られません。

折角お会いできて、お顔も拝見できたと言うのに、どうしてなのでしょう。

ちょっぴり残念、です。

今度、頂いたバンダナを枕の下に忍ばせてみようと思います。

少しは良い夢が見られるでしょうか?(笑)

それでは、また明日です。


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こんにちは、御主人様、なみです。

2週間ほど前に行ったときには、色とりどりの衣装を纏っていた山々が美しかった京都も、

本格的な冬になるに連れ、また違った一面を見せてくれるのでしょうね。

他の方々から比べれば、遠いというほどではないのでしょうけれども、

なみはどちらかと言うと一人で遠出するのはとっても苦手。

「ふらっ」とお一人であちこち向かえてしまう御主人様がとても羨ましいです。


前に購入したサンドウィッチの本にカツサンドの作り方が載っていました。

これを参考に、ビーフカツのサンドウィッチを作ってみることにします。

本ではソースはブラウンソースになっていました。

(トマトケチャップ+ウスターソースがベースのものです)

でも、デミグラスソースでもとても合いそうです。

御主人様のお口に合うようなものが作れるよう、頑張ります。

その時にはなみの得意なコーンポタージュスープも一緒に持って行きたい所ですが・・・

魔法瓶に入れて持って行くのはちょっと無理でしょうか(笑)

勿論、ルーから作るのです。

なみの好きなお料理の一つです。


御主人様は、人込みはお嫌いでしょうか?

(あまり、お好きな方はいないのでしょうけれども)

今週の神戸walkerがイルミネーション特集だったので、一昨日購入したのですが、

ルミナリエの来場者数は毎年、増えているのだそうですよ。

それにデザインも毎年変わるものなのですね。

今年のテーマは「光の永遠」との事。

まるで絵画のようなイルミネーション・・・ちょっぴり惹かれます(笑)

でも、御主人様と御一緒させて頂けるのならば、何処へ行っても楽しいことでしょう。



また午後にメールお送り致します。

御主人様へ


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重い身体を引きずりながら、眠け覚ましにとベランダに出てみて、

ふとお昼のニュースでの気象情報のリポートを思い出しました。

「今日と明日は冷え込みが厳しく、真冬日となり、雪になる可能性が高く・・・」

身体が固まってしまうほどの冷気。

まるで凍りついて結晶となったばかりの空気を、鋭い風が粉々に砕いて送りつけているみたい。

ほんの数秒で、なみはしっかり目が覚めました。

けれども、冷え込みが厳しい夜ほど、空が澄んで見えるというのは本当の事なのですね。

今日の月は、満面の微笑で、なみを迎えてくれました。

空よりもやや薄く、淡い灰色の透けるような雲が、時々流れてきては月に色を掛けるのです。

そんな時の月は、まるで、暗闇を舞う蛍の光のように、

ぼんやりと膨らんだ、とてもとても柔らかな光を放つのですよ。

御主人様も、ご覧になっていらっしゃると良いのに・・・

そんな事を考えて、暫く眺めておりました。

気がつくと、やや大きめのシャツ一枚の身体は既に冷たくひえてしまっていて、吐く息さえ真っ白。

指の感覚も随分と鈍くなってしまっていたのでした。

このまま、夜の温度と同じくらい冷えてしまえば、この夜に身体を溶かしてしまう事ができるのかしら。

そうしたら、夜の闇に隠れて、そっと御主人様に会いにいってしまえるのに。

そおっと、髪や指先に触れてみたり。

大きな背中にもたれかかってみたり。

御主人様の吐かれる白い息の数をかぞえて、一つ残らず集めてみたり。

そして夜の間中、御主人様のお顔を見つめていたい。

考えれば、切りがありません。

寒い夜に外へ出て、こんな事ばかり考えて時を過ごしてしまうから、なみの風邪の治りはとても遅いのでしょうね。

御主人様の呆れられるお顔が目に浮かぶようです。

御主人様は、冬の寒さは、人恋しくさせると、以前に仰ったけれども、

なみは寒さに対して感覚が鈍くなってしまったみたい。

御主人様の暖かさを知ってしまったから、

同じようになみの心はいつもぽかぽかなのですもの。

こんな暖かさを持ってしまっていては、当分、夜に溶けるのは無理のようです。

なみにとってこのことは、

とても残念な事であり。

とても贅沢な事であり。

そして、とても幸せな事、なのです。御主人様。

また明日メールお送り致します。

おやすみなさい、御主人様。

一日、お仕事、お疲れ様でした。

良い夢を、ご覧になられますように・・・



御主人様へ


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目の前で弾ける白い光と耳に飛び込んでくる小さな音が、あれほど身体を刺激するものだと思ったことは、

今まで一度もありませんでした。

目隠しをされ、感覚が敏感になっていたせいもあるのかもしれません。

本当は、真っ暗闇の中でも御主人様の気配を感じとっていたくて、

室内の空気の動き、息遣い、衣類の摩擦音などに意識を集中しようとしたのです。

でも、そう思えば思うほどに、瞬時に焚かれるフラッシュと軽いシャッター音に意識はかき乱されて行きました。

恥ずかしい格好で椅子に座らされ、開かれた足の間にそれらを感じる頃には、

熱でうなされた時のように身体は熱く、羞恥心という言葉はどこか遠くへ消え去ってしまっていました。

時々なみの熱い身体に触れてくださる、ひんやりとした指先、手のひら。

レンズごしに感じる、痛いくらいの視線。

身体の内側はまるで溶かされた生クリームが詰まっているみたい。

熱くて、熱くて、とろとろで・・・とても気持ちよくて。

ふと、気付いたのです。

「・・・これが感じているということ・・・」なのかなと。

まだそれほど、身体に触れられてもいないのに・・・。

その時、自分の身体ながら、感じたのは「驚き」であり、そして、

「耐え難い恥ずかしさ」そして「恐ろしさ」でした。

なみはなんとか御主人様にそれを悟られないように、外に漏らさないようにと、必死でした。

それを御主人様は分かっていらっしゃったのでしょうか。

「足を開いて、自分の手で広げてみろ・・・。」

なみの考えていることは全てお見通しだよ、と思わせるあの一言で、

もう隠しとおすことなど出来ませんでした。

カメラを向けられ、シャッター音を感じながら、身体の中から漏れ出すもので、

自分の指さえ汚してしまったのですから。

男の人に触れられる心地よさを知ってしまったなみの身体は、

あの身体を貫く限りなく苦痛に近い快楽を随分と欲していたのでしょう。

開かれた身体の中に御主人様の太い指が入ってきてすぐに、なみの身体の力は抜けてしまって、

そのままふと、意識が落ちて行くのを感じましたから。

「これだけで、もう、いったのか・・・?」

どこか遠くで、御主人様のそんな言葉をお聞きしたような気がしました。

あまりに強い感覚と、自分の身体が快楽を欲していたという羞恥心に、

前回と同様、幾筋もの涙を流し、嗚咽を挙げるなみでしたが、

御主人様はそれ一度切りでは許しては下さらなかった。

何度も何度も、身体の内側を器用に抉り続ける御主人様の指に、

もう涙を流すことだけで精一杯で、何もかもわからなくなってしまっていました。

それからの事はあまり良く覚えてはいないのです。

唯一、思い出せる事は、一番最後に、初めて男性の白いものを口で受けとめたこと。

そして喉に通し、自分の身体に入れたこと。

喉を通した時に感じた御主人様の匂い、暖かさ。

今思い出しても、背中にぞくりとした奇妙な感覚がはしるのでした。



翌日の晴れた海沿いの空の下、思い出せば、なみは随分と挙動不審な人間に見られなかったかが、

今でも気がかりでなりません。

コートの下はセーターとショーツ一枚。

すぐに、そのショーツの紐も解くように命じられ、充分に長いコートの前を何度も確かめながら、

なみは御主人様の後ろを歩いておりました。

人とすれ違う度にうつむき、顔を隠し、コートを必要以上にかき合わせながら、

心臓はもう破裂しそうなほど高鳴っていたのです。

コートの前を開けて、高速道路に添って歩いたとき。

「運転手がバックミラーを覗いたらどうしよう。」

「となりのビルのOLはこちらを見ていないかしら。」

確かめたくとも、顔も挙げられず、出来ることと言ったらカメラを構える御主人様に向かって

ひたすら歩くことのみでした。

いつ、人が上から覗き込むかもしれないという橋の下でコートの前を開き、シャッター音を聞いたとき。

幼い子供と母親がくつろぐ日当たりの良い公園の道で木々の間から太陽の光を感じながら、下半身を晒したとき。

ファーストフード店で親子連れやカップルの笑い声を聞きながら、足を開いたとき。

まるで春の日のような太陽に照らされての暑さとは明らかに違う何かに、

身体が熱されていることになみは気付いていました。

セーターに覆われている上半身よりも遥かに暖かさを感じる脹脛、太もも、

そして、昨日、自分の指で大きく広げたあの場所も・・・。

楽しそうに、なみを見つめる御主人様からの言葉に、なみはこう、答えました。

「感じてなんて、いません。分かりません・・・」

あの時の言葉も、自分では嘘ではないと思っていたのです。

トイレの個室で、足を広げられ、御主人様に覗き込まれたその瞬間までは。

乾いた御主人様の指を、そのまま深く深く受け入れてしまうほど、なみの身体は熱く、潤っていたのに。

なみは明るい空の下、肌を晒して、こんなにも身体をとろけさせていたのに。

戸惑いと、身体が徐々に変わっていく恐怖感も、

自分の口から漏れる恥ずかしい声にいつしか何処かへ行ってしまっていました。

このまま、時間が止まってしまえば良いのに。

枯葉に囲まれながら、コートをはだけ、シャッター音を聞きながら、そんな事を考えていたのです。

あの時、素直に御主人様に告白出来なかったなみを、どうかお許し下さい。

今日になり、なみはもうなんの躊躇いも無く、御主人様にお話する覚悟がやっとつきました。

なみは御主人様から向けられるカメラに欲情していました。

小さな音をたてるシャッター音も一瞬にして消えてしまうフラッシュも、

何もかもがなみの肌を、身体を責めたてているようにさえ感じてしまいました。

もっともっと、恥ずかしい、なみの姿を沢山写して欲しくて堪らなかった。

ショーツだけでなく、セーターも脱いで、コート一枚で外を歩いてみたかったのかもしれません。

コートも着ず、全裸で沢山の人目に晒されながら、外を歩けたら。

帰ってから今まで、そんな事ばかりを考えていました。

家について気付いたのです。

コートの内側の裏地に広がるしっとりとした大きな染みが出来てしまったことに。

付かないように気をつけていたのに、無駄な抵抗でした。

完全に乾いておらずに、指にまとわりつくようなそれは、明らかに、なみがつけた欲情の印でした。

一応、染みぬきは試みたのですが、いまだにクリーニングにも恥ずかしくて出せずに、

クローゼットに掛けてあるのです。

いえ、恥ずかしくて出せないと言う訳ではないのかもしれません。

まだ、身体の熱さが抜けきれていないなみは、

自分が行った恥ずかしい事の数々をこれを手元に置くことによって、

鮮明に思い出そうとしているのかもしれないのですから。

こんなことを考えるのはいけないことでしょうか?

なみはおかしいですか、御主人様?

御主人様は、こんななみを軽蔑なさるのでしょうか。

もう抑えきれない所まで来てしまっている様で、なんだかとても恐いのです。

「自分を解放する」という事って、とても難しいことなのですね。

まず、自分が何を欲しているかをまず、認めなくてはならないのですもの。

他人から見たら、こんな「なみ」という存在は随分「異常」に思えるのかもしれません。

戸惑いや葛藤、そして果てしなく甘い欲求に、どう対処したら良いのか、分からないのが本音です。

目を瞑ると、帰りがけに見上げた薄桃色から紫色にゆっくりと変化する夕暮れの街が、

今も頭にはっきりと思い出されます。

あの空のように、変わっていく自分の身体を「自分のもの」として完全に認めるのには、

なみはもう少し時間が掛かるのかもしれません。



御主人様へ


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幼い頃、「21世紀」とは、とても未来のお話でした。

人類は地球を離れ、既に宇宙へと生活の場を広げていたし、

空には外の惑星からの宇宙船が飛びかっている。

家には2本足で歩くロボットが家事をこなし、寂しい時には話し相手にもなってくれる。

本当に夢のような世界。

それがなみにとって「21世紀」のイメージ世界でした。

ところが現実には、やっと2本足で歩く事ができるだけのロボットが開発され、

世界のどこかでは今でも銃弾がとびかっている。

時計の針が零時を過ぎて、「新世紀」と呼ばれるようになっても、なにも変わらないこの世界。

こうやってなみが存在している今現在が、夢にまで見た「21世紀」だなんて、考えると、

なんだかおかしくなってしまいます。

でも、昨年2000年には、なみは御主人様と出会う事ができて、「御主人様」とお呼びする事ができ、

そして2001年の今現在、こうして御主人様のことを思っている。

なみにとっては記念すべき出来事が両手いっぱいの世紀越えになりました。

今年も一分、一秒でも長く御主人様の事をかんがえていられるように。

同じ時間をたくさん共有出来ますようにと、そう願うばかりです。

まだまだ至らない所が目立つなみですが、今年もどうぞよろしくお願い致します、御主人様。


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「深紅が似合う女性」というものに、なみはずっと憧れているのです。

「深紅を身につけられるのは大人の女性の特権」

そう思っていたのです。

幼い頃に見た、外国の映画の影響かもしれません。

編み上げのコルセットで細く細く締め上げた身体。

こぼれんばかりに強調した豊かな胸。

すらりと伸びた足には、立っているのもやっとの錐のようなピンヒール。

麗しい彼女達のワイングラスを持つ白い指の先と形の良い唇は、

それはそれは鮮やかで深い赤の色で飾られていたのです。

祖母の膝に抱かれて見た映画のおぼろげな記憶の中で、それだけが今も鮮明に思い出されます。

大人になったら、こんな女性になりたい。

こんな色を身につけていられる女性になりたい。

幼心にそんなことを考えたなと、ふと思い出しました。

窓辺のガラスのテーブルに並べてある色とりどりのマニキュア達に、

一際目立つ「深紅」が加わったのはつい先日のこと。

なみにはまだ早い、買っても使うことが出来ないと分かっていたのに関わらず、

あの時はどうしても抑えられなくて購入してしまったのでした。

明るい空にそれをかざすと、小さな小さな太陽がガラスのビンに生まれます。

キラキラと輝く光の欠片が閉じ込められているみたいで、とても綺麗。

次回、御主人様とお会いするときまでに、少し爪のお手入れをして、

思いきって着けていこうかとも、考えていたのですが、

きっとこの深く重い色の前では、今のなみは霞んでしまうでしょう。

いつの日か、この色に相応しい女性になれますように。

この色に負けない、とびっきりの女性になれますように。

そして、この色をつけて御主人様にお会い出来るように。

当分の間はお預けですが、願わくば、その日が一日でも早く来ますように。

とろりとしたマニキュアの小びんの中には今日もお日様の欠片がいっぱいに輝いています。



御主人様へ

なみ


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「この世には何一つ不思議なことなどないのだよ」

そんな言葉に頷きながらも、近頃なみの「世界」は不思議なことでいっぱいです。

そう、たとえば御主人様もその中の一つ。

もう暫くお会いしていないのにすぐ近くにその存在を感じることが出来たり、

そうかと思えば時々、酷く遠い存在にも変わってしまう。

なみは御主人様の事をどこまで知っているのでしょうか?

時々そんなことを考えては、一人、途方に暮れてしまうのです。

以前、お二方とお食事を御一緒させて頂きながらお聞きした沢山の御主人様に関すること。

あの時、生まれたいろんな感情の中で「心配」という物があったのです。

未だお会いしていないのに、他の方からこんなに御主人様の事をあれこれ聞いてしまったら、

なみがお会いして発見する「御主人様の部分」が無くなってしまうのではないだろうか・・・。

そんな「心配」だったのです。

あの時は本気でそう悩んでいたのですが、今考えればなんだか笑ってしまいますね。

まだまだ、お会いした今現在でも、なみは何一つ分かっていないと言うのに。

なみの知っている御主人様についての事柄は、

恐らくサイトに訪れる方々全員が御存知のような事ばかりなのでしょう。

自分以外の他の人間の全てを理解する。

恐らく、そんなことは不可能に近いことなのだろうけれども。

それでも知りたいのです、御主人様。

少しでも多く、少しでも深く。

遠いけれども、とても近くて、でも遠くて・・・

御主人様とは今のなみにとってそんな存在。

たしかに存在しているのに、掻き抱いても何一つ手の中には残らない。

そんな御主人様を、なみは明日も明後日も、ずっとずっと追い続けて歩いて行くのでしょう。

いつの日か誰も知らない、新しい、生まれたての「なみのご主人様」の部分の発見を一人、夢見ながら。


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ふと、御主人様のお顔を思い出そうとしたら、

あまりはっきりと思い出せないことに愕然としてしまいました。

ぼんやりとしてしまって、どうしても駄目なのです。

だから夢で出会う御主人様はなみに背中を向けてしまわれるのですね。

なんだかおかしくて、ちょっぴり涙が滲みました。

もうお会いするのも三度目を数えたのに、未だに御主人様のお顔を鮮明に思い出せないのは、

きっと、なみが御主人様を前でうつむいてしまっている事が多いからなのでしょうね。

御主人様の前で顔を挙げることがあまり出来ないから。

御主人様の手が顎に掛けられ、上を向かせられることもあるのだけれども、

そんな時はきまって視線をなるだけ逸らせてしまっているから。

お顔をはっきり思い出せないなどという事に、

御主人様はお怒りになるかもしれないのだけれども、

なみにとって御主人様はとても尊い存在で、

「御主人様」とお呼び出来ることさえ、とても幸福な事なのです。

だから、お会いすることが出来て、お傍にいられて、

「ああ、今、なみは御主人様のお隣にいるのだ」と実感できるという事は、

なみにとっては言葉では例え様の無いくらい、奇跡的なこと。

だからこそ、戸惑ってしまう。

良いのだろうか、と。

今、お隣にいるのが「なみ」のような者で本当に良いのだろうかと。

御主人様に「御主人様になって頂く」価値は果たしてなみにはあるのだろうかと。

そう考え出したら、コンプレックスだらけのなみは、あっという間に崩れていってしまうのです。

大丈夫だとお会いする直前までそう思っているのに、御主人様をお見かけすると息が詰まりそうになるのです。

そうなってしまったら最後、顔も挙げられず、御主人様の後ろを歩くのが精一杯。

こちらから御主人様をお顔を見上げるなど到底出来ず、「視線」が妙に恐ろしい。

そのくせ、少しでもいいから御主人様の周りの暖かくて優しい空気に触れていたいと思ってしまう。

困ったものです。

未だに御主人様を真正面から捉えることが出来ないのは、そんなことを考えているせいなのでしょう。

時折、何かの拍子に御主人様を捉えてしまったときには、わざとピントをずらしてしまっている。

性能の悪いカメラのようです。

恐らく御主人様だったら、すぐに手放してしまうような性能レベル。

おまけに何回も映像を取りなおし、生み出すことの出来る最新のデジタルカメラではなく、

その場のみを生み出すポラノイドカメラ。

けれども、ぼやけていながらも「なみが映し出した御主人様」という「画」はとても大切な宝物であり、

頭の奥の深い深いところの記憶という宝箱にしっかりと仕舞いこんでいるのですよ。

あまりにも厳重に何重にも鍵を掛けるので、引出そうと思っても、

なかなか直には思うようにならないのが難点な所。

だから、思い出せるのはわずかにぼやけていない御主人様のパーツ。

それは広い背中。

ごつごつした太い指。

そして、なみを呼ぶお声。

そろそろ切ろうと仰っていた少し伸びた髪とピカピカのデジタルカメラ。

今夜は鍵を少し甘くして、ぼやけた御主人様とでもよいのです。

夢の中でお会いできたら・・・


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一人で映画を見に行ってきました。

御主人様がご覧になりたいと仰っていた「BATTLE ROYALE」。

見に行こうと誘ってくださったときには、まだ上映されていなかったし、

次にお会い出来るのがいつになるのかも未だ分からない今、

その日を待たず、終わってしまうかもしれません。

原作で酷く嫌な気持ちになってしまったものだから、到底、一人では見に行くことは出来ないと思っていました。

御主人様と御一緒ならば・・・

そんな事をずっと考えて待っていたのだけれども、

ふと、一人で見に行ってみようと、なんとなく思いたったのです。

御主人様は次回、また誘ってくださるのかしら?

でも、もしかしたら他のどなたかともう新たにお約束してしまったかもしれない。

でも、もしまだご覧になっていなかったら、なみはお叱りを受けてしまうのかな・・・

そんな事を考え、ちょっぴりため息をつきながら、平日の午後、ガラガラに空いた映画館に向かいました。

原作通りのものを忠実に映像で表現すると言うことは不可能だとは分かってはいたのです。

時間だって限られている。

だからきっと、そんなに恐くは無いはず・・・多分、大丈夫。

そんな期待はあっという間に裏切られてしまいました。

原作を省かれた部分があると言う事は、映画用のシーンが存在すると言うことなのですね。

まるでジェットコースターに乗っているかのように、次から次へと銃弾が飛び、刃物が煌き、

血まみれとなり・・・沢山の人が命を落として行く。

気がついた時には、既にスクリーンはカーテンが閉められ、僅かな場内の明かりがなみを照らしていました。

何人ものクラスメートを手にかけた女生徒が絶命する時の言葉、

「私はただ、奪う側に回ろうと思っただけよ・・・」

この言葉が、あれからずっと頭にこびりついてしまいました。

奪う側と奪われる側、どちらかを選択しなければならないとしたら、私はどちらを選ぶだろうか。

たとえばごく親しい人間を相手に、恋焦がれている人間を相手に、それを選ばなければならないとしたら。

そしてその中に、御主人様がいたとしたら。

私は瞬時に奪う側にまわる決心をすることが出来るだろうか。

そして、そんな事までして「生きる」ということに執着を持つことが出来るだろうか。

しばらく、そんな事を考えては、一人、凄く悲しい気持ちになってベッドで泣きじゃくっていたりしたのでした。

(もっともなみなど決心する前にすぐに命を奪われてしまいそうな気もするのだけれど)

恐らく、なみは御主人様を探してしまうのでしょう。

狭い島の中で、だれも信じられなくなって、誰に命を狙われているかも分からないけれども、

御主人様を探して、歩きまわってしまうのだと思うのです。

途中、誰かを手にかけることもあるのかもしれない。

何人も何人も。

そうして、いつか御主人様を見つけ出し、一度だけ御主人様の手に触れさせて頂いたら、

そうしたら、御主人様の手でなみの命を消して頂こうと思っている。

何人もを手にかけた罰として、そして、御主人様を探し当てたご褒美として。

絶対に訪れることの無いこんな非日常的な世界でのこのなみの死に方ならば、

きっと闇の世界に落ちる最後の最後の時まで、笑って逝けるのかもしれません。

今の時点では、何故、貴方は生きているのかと聞かれたら、よく分からないと答えることしか出来ないし、

何十年か先に死が訪れるであろうその瞬間にさえ、それは同じなのかもしれない。

でも、生まれた以上は死に向かっているし、いずれは誰にでも死は訪れる。

なみは今こうやって御主人様のお傍で生きている。

とても幸せに、生きている。

今のなみにとっては、これがその「理由」なのかもしれません。


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メールをお送りしようとPCに向かったのですが、何から書き出したらよいのかと随分と悩みました。

考えれば、考えるほど、、思い出せば、思い出すほどに、

先日、犯してしまったなみの失礼の数々が次々と頭に浮かび、

自分の中でどう対処したらよいのか、少し分からなくなってきました。

なみはお会いした直後から失礼の連続でしたね。

御主人様が話しかけて下さったと言うのに、ぼうっとしていて気づく事が出来なかった事。

お買い物をする時にはただ後ろをついてゆくだけで、買い物カゴを持っていく事さえ忘れていた事。

その上、ホテルにチェックインしてからのなみの態度は、正直言ってしまえば、

無かったことにしていただきたいぐらいに酷いものでした。

なみの何気ない一言が、後であんなことになるなんて、到底思ってもみなかったのです。

御主人様の一言に、とても戸惑いました。

とても冷たい、御主人様のお声。

前にも一度、頂いた事のある御命令でした。

あの時は結局、最後には許していただいたし、きっと今回も・・・

なみはそんな事を考えてしまっていたのです。

御主人様がそのご命令を3度言われ、やっと行動に移すことが出来たなみ。

でも、そんななみの失礼を御主人様は許しては下さいませんでしたね。

二階のロフトに続く階段の途中に四つん這いになってのお尻への平手打ち。

途中から「数をかぞえていろ」と仰られ、また一から数え直して、終了まで五十回。

実際にはお尻には何度叩いて頂いたのでしょうか。

よく覚えておりません。

部屋に響く鈍い音。

熱くて、弾けるような鋭い痛み。

それに続き重く鈍い感覚が下半身にじんじんと広がりました。

完全に痛みが消え去らないうちに、つぎつぎと振り下ろされる御主人様の手。

自分がいけないのだから、仕方がないのだ。

これは当然の事なのだ。

そう思いながらも、痛みでそのうちにうめき声も出なくなり、涙が止まらなくて、

最後の頃にはご命令の「数えろ」という事も従うことが出来ませんでした。

とにかく恐ろしいぐらいの痛みでした。

そしてそれ以上に、とても恐ろしかった「御主人様。」

その上に犯したもう一つの失敗。

ベッドでのお口での御奉仕後、御主人様が出された精液をなみは全て飲み下すことが出来ませんでした。

のどにつかえ、むせ込み、吐き出してしまったなみを御主人様は見逃しては下さいませんでしたね。

「お前、吐いたのか、今?」

呆れたような口調の中に含まれている冷たさに、

もうなみはうつむいたまま小さく頷く事しかできませんでした。

二度目のお仕置きは誰かに見られているのかもしれず、

寒さと恥ずかしさで震えだした身体を支え立っているのがやっと。

一際大きくなって近づいてくる人の声に、

少しでも動こうものなら「動くな!!」と御主人様の厳しいお声が飛んできました。

御主人様は遠い。

なんだか、あの時にはそんな風にさえ感じてしまったのです。

アナルパールで初めてのお尻の方の御調教をしていただいたり、

階段で麻縄を使い責めていただいたり、

数百枚という大変な数のお写真を撮っていただいたり...

思い出せば他にもいろいろとあるのだけれども、

今はただ御主人様に対して申し訳ない思いでどうしたら良いのか分からないのです。

本来なら従うことが当たり前の立場でありながら、

なみはまだよくそれを把握できていなかったのかもしれません。

自分で望んで御主人様にお仕えしますと誓ったのに、何一つ、満足に行うことが出来ない。

御主人様の手を煩わせて、御気分を害するような事ばかり。

お尻にお仕置きを受けた時にはただただ恐ろしさと痛みを堪えるのがやっとだったのだけれども、

なみのお尻に振り下ろされる御主人様の手も痛みを感じなかったわけではない。

今になってやっと気づくことができました。

「お仕置き=痛みを有する物」ということならば、

もっともっと痛みを与えられる方法もお道具もあるのですから。

御主人様の手から直接、振り下ろされるお仕置きで良かったと、

ありがたいと感謝しなければならないのに、あのときのなみにはその余裕は全くなかったのです。

一刻も早く終わってほしい。

思い浮かぶのはそれだけでした。

お茶やお夕食の時には、

新しくサイトにいらっしゃった方々の事などを馬鹿みたいにはしゃいでお話ししてしまったのは、

そうでもしなければ、明るいなみを装うことができなかったから。

今日はいろいろと申し訳ありませんでしたというなみの言葉に対して、

「お仕置きも受けたことだし、次から注意すればそれでいい」と答えて下さった御主人様。

どうして許して下さるのですか。

お前はどうしようもない駄目な奴だと、言われたことさえ直ぐに実行できない馬鹿者だと、

怒鳴り散らして頂けたら、思いっきり泣いてしまえたのに。

もっともっと楽になることが出来たのに。

それとも、これが本当のお仕置きなのですか。

独り、遠くで思い出して反省しろと、そういうお考えなのでしょうか?

いきなりお会いする日が決まってしまったからだと、初めは自分にそう言い聞かせてきたのです。

心の準備も何もかもが上手く行かなかったのはそのせいだと。

でも、御主人様にいつお会いしても、いつお顔を会わせても恥ずかしくないように、

常に御主人様を意識して日々を送るのも、お仕えしている者の努め。

準備期間まで頂いたのに、なみは全く分かってはいなかったのですね。

あれから日が経つにつれ、現れてきた不安と焦りが心の中でどんどん大きくなるばかりです。

初めに取り繕わずに悪いところを見せてしまえば、

あとは良いところばかり目に付くようになると前々から御主人様は仰っていました。

なみの良いところはあるのでしょうか、御主人様?

ほんの少しでも、本当にあるのでしょうか?

未だに自信というものが言葉とは縁遠いなみには、

これからどうすればよいのかさえ、なんだか分からなくなりました。

御主人様、お会いしたい。

今すぐにでも、出来ることならご主人様の元へ飛んでいってしまいたい。

けれども同時にそれは今のなみにとって、とても恐しい事となりました。


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電車を降りると、そこは一面の雪化粧で、目に沁み入るような眩しさでした。

ロングブーツの脹ら脛まで、すっぽりと埋まってしまう雪の絨毯を踏みながら歩いた家までの道を、

なみはいつもより長く感じていました。

こちらにいるうちは、御主人様の事を考えるのは辞めよう。

新幹線での移動中、さんざん考え続け、妙に悲しくなってしまい、視界まで霞ませてしまったのだから。

考えてもやらかしてしまった失敗は無かったことには出来ない。

繰り返さなければいいのだから。

こちらにいるしばらくの間は、自分にとってだけの「楽しい事」だけを考えていよう。

車窓から流れる景色をながめながら、そんな事を考えていたのに、

結局あれから数日間、一時も御主人様の事を忘れる時間など無くて、今に至ります。

今頃、何をしていらっしゃるのでしょうか。

お仕事ですか?

またカメラを選びにあちこち歩き回っていらっしゃるのでしょうか?

それとも、なみの知らない素敵などなたかと、御一緒の時間を過ごされている?

吸い込まれてしまいそうな降り続く雪の空を見上げ、「御主人様」と小さく呟くと、

たちまちそれは雪の欠片に吸い込まれ、白く白く姿を変えました。

なみは今、真っ白な雪の中におります。

おかしてしまった数々の失敗は、白い雪の中に埋めました。

これから、御主人様、貴方の元に帰ります。


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言葉の使い方が下手だと言う事は、とても恥ずべき事であり、

時々どうして良いのかと分からなくなってしまうのです。

じっくりと時間をかけて記す事が出来るメールとは違い、

自分の口から直接相手に伝える「言葉」に、今まで何度反省を繰り返したことでしょう。

特に御主人様と御一緒させて頂いている時は反省の連続で、

なみは時々泣きたいくらい情けない思いをする時も珍しくはないのです。

言葉を必死で選ぼうとしている私。

そしてそれを使いこなそうとしている私。

焦れば焦るほど、言葉が出てこず舌が動かない私。

そんな時の静まり返った部屋。

その中で唯一、生きている御主人様の気配。

すぐ近くで感じる御主人様の目。

顔をあげなくとも良く分かるのです。

あの冷たい目。

どうしよう・・・。

こんな目で見つめられたくないのに・・・。

どうしようもない状況から逃げようと固く目を閉ざすけれども、

鋭い叱咤と共にあっという間に連れ戻される現実。

頭の中で何度も繰り返すイメージ。

でも、もうお終い。

なみのその場限りの飾り立てた言葉など、御主人様はお見通しなのですよね。

自分の使った言葉に傷つき、後悔と反省はこれからもあるのかもしれないけれども、

それがなみなのです、御主人様。

お手を煩わせる事でしょうし、お怒りも受けると思います。

呆れられるかもしれない。

なみにも理想はありました。

御主人様の言われたとおりに何事もこなし、なんでも御主人様の思うとおりに、お望みのままに従える女性。

御主人様に満足していただける、そんな女性になりたい。

けれども、それは「理想」であり、今の私では無理なのです。

到底、手の届かない。

だから、「理想」。

つまづいて、涙を流しながらも一歩一歩あるいてゆければ・・・

これがなみの進み方なのだと少し受け入れる事が出来ました。

沢山、叱って下さい。

沢山、泣かせてください。

なみは御主人様が大好きです。



御主人様へ

なみ


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主人様となみが共有させて頂くことが出来る時間はいつも数時間足らず。

気がつくと、既に空には星が瞬いて、お別れの時間だと告げられるのです。

「いつもあっという間だ」

御主人様は先日も、その前も、そう仰ってお笑いになっていましたね。

楽しい時間はすぐに過ぎて行くものだとよく言われるけれども、

なみはあまりの時の流れの早さに、時々呆然としてしまうのです。

時計など見なくてもなんとなく分かる、近づいてくるお別れの時間。

どんなに願っても止まることのない、一分、一秒。

そして人ごみに消える御主人様の背中。

再び動き出すなみの日常。

ほんの少し出てしまう、ため息。

その日、その時間に「お会いできた」という事だけで、既になみはお腹いっぱい。

御主人様のお隣になみがいる。

それで十分。

こうしてお会いして下さるだけ、私は幸せなのだ。

そう思ってはいるのだけれども・・・

あと10分、お隣にいられたら。

5分、お声を聞いていられたら。

きりがないことは十分に分かっているのです。

そして、そう思っているのは、恐らく私だけではないことも。

いつかもっともっと時間が作れるようになって、御主人様とご一緒に夜を過ごす事が出来たら、

一晩中なみは御主人様のお顔を眺めていたい。

きっといつもの数時間では分からないことの方が多いのですよね。

御主人様はどんなお顔でお休みになられるのか?

お休みするお時間はどれくらい?

どんな格好でお休みになるのです?

他にも、沢山発見はあるのでしょう。

なみは未だ、何も知りません。

その時がいつ来るのか、今はまだ分からないのだけれども、

どうかその時は深い眠りの中にいらして下さいね、御主人様。

そうすれば、なみは御主人様の髪や快楽に導いてくださる指先、未だ一度も触れたことのないお顔など、

一つ一つにそっと触れることも出来るのでしょうから。

もしかしたら、御命令されてもなかなか実行にうつすことが出来ない事も、

眠っている御主人様のお身体になら出来るのかもしれません。

目を覚まされないように、静かに静かに、そぉっとそおっと・・・少しばかりの悪戯は許してくださるでしょうか?

そして御主人様と迎える朝。

一体どんなものなのか・・・今は想像も出来ません。

今はまだ夢の段階。

春頃になるのか、秋頃なのか、一年後なのか五年後なのかそれさえわからないけれど。

今のなみには、まだ「夢」でいいのかもしれません。

「夢」を見るのは大好きな事の一つ。

空想は果てしなく広がって行くもの。

そして、「いつの日か、現実になる。」

そう、信じている限り、いつかきっと・・・・・・



御主人様へ

なみ


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アルミケースの中から今日は真っ白なレターセットを選び出しました。

インクの色は勿論、黒。

傍らで薫りを楽しむためだけに淹れた、いつもより濃いめのコーヒーの良い匂い。

少し幸せ。

手紙を書くということが、なみはとても好きなのです。

古臭い、今はメールがあるじゃないの。

封書なんていくらの切手を貼るのかさえ、もう忘れちゃったわよ。

こう、先日も久しぶりに会った友人には笑われてしまい、

最後にはメールアドレスを手渡されてしまったけれども。

どんなに距離が離れていようと、

たとえ海外に行ってしまおうと簡単に連絡が取れるような進化を果たした今の時代には、

手紙などもう旧世紀の代物なのかもしれないけれども、彼らの仕事ぶりを私はとても気に入っているのです。

沢山のレターセットの中から、相手にあったイメージの物を選び出すのも好きだし、

細いペン先を浸すインクの色を選ぶのも好き。

しばらく意識していなかった自分の「字」を見るよい機会にもなるし、

一字一句、思いをこめて書き綴る事ができる。

あまり格好の良くないなみの癖のある字も、

「相変わらずね」と笑って見逃してくれるであろう友人達を思い浮かべながら、たっぷりと時間を掛けて。

そして、封をする前にほんのちょっぴり振り掛ける愛用の香水。

それは時々、秋の山を飾った紅葉の押し花になったり、

美味しかったお料理のお手製レシピカードになったりするけれども。

大好きな人達への、ささやかななみの気持ち。

無事に届きますようにと、祈りながらポストに落とす瞬間はいつもドキドキするものです。

何日も掛けて届く、気持ち。

手元に残る気持ち。

なんて贅沢。

そう思うのは私だけでしょうか。

勿論、とても便利で手間もかからず、

限りなくリアルタイムの自分を届ける事が出来る電子メールも同じくらい大好きですが、

(特に御主人様から頂くメールはいつも特別です)、やはり全てを任せてしまうには、

ほんの少し物足りなく思うなみなのです。

書き始めて、ふと気づきました。

友人に宛てた手紙を書こうとしていたのに、便箋の頭には「御主人様へ」・・・

今ごろはお仕事中なのかしら?

それともお食事かしら?

・・・そんな事を思っていたからでしょうか。

どうしようと思ったのですが、そのまま御主人様宛てに手紙を書いてしまいました。

クローゼットの奥のなみの秘密の隠し場所には、そんなふうにして増えていった宛名のない手紙がもう四通。

新しい一通を入れて、しっかりと密封しました。

最初の一通は御主人様とお呼びしていなかった頃。

二通目は夏の盛りの頃。

ベッドの中から書いたものもあるのですよ。

御主人様お元気ですか、で始まるなみの想いの記録達。

恐らくこれからも日の目を見ることなく、

封を開けて見てももう香水の薫りはとうの昔に消えてしまっているだろうけれども、それでもよいのです。

形には残らない御主人様からの言葉の一つ一つは、メールからなみの心に確かに刻み込まれています。

そうやって御主人様となみの記録は今もなみの心の中で毎日ぴかぴかに更新を続けているのですから。



御主人様へ

なみ


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人を理解すると言うことは、とても難しい事の一つ。

「この人はこういう人なのだ。」

親しい友人、兄弟、家族。

表向きだけでならいくらでもそう思うことはできるのです。

でも、何かの拍子に垣間見る予想と反した行動。

仕草、言動、表情、声。

本当にそうなのだろうか。

本当のこの人は、私の思っているような人ではないのかもしれない。

時々、そんな事を考えては、不安の中に落ちてゆく自分がいます。

なみは御主人様をどれだけ理解出来ているでしょうか。

百分の一くらい?

一千分の一くらい?

小指の先にも、満たないぐらいなのかもしれません。

手に取るように、見ることができない心の内に、詰まっているものはどんなものなのでしょう。

お会いして、わずかにお身体に触れるだけでは分からない事ばかりです。

見てみたい気もする。

でも、ちょっぴり怖い気も、するのです。

お会いしてまだ数ヶ月のなみには、御主人様はまだまだとても不思議な存在。

いつもお傍にいてくださって、なみについていてくださる。

頼もしくて、とても大きい。

守られているという、安心感に包み込んでくださる、そんな存在。

けれども同時に大きすぎて、なみには掴み切れない気さえするのです。

全てを掴み切れない、切なさ。

これは他の方々も同じなのかもしれないけれども。

「御主人様の全てを知りたい。」

以前、そう言ったなみにある女性は、こう答えてくださったのです。

それは、贅沢だ、と。

「全てを知りたい、だなんて、それは贅沢というもの。

ゆっくりと時間をかけなければ、理解などできない。」と。

それが、「御主人様」というものだと。

頭では分かってはいるのです。

分かってはいるけれども、暫くの間、ため息の連続でした。

どれくらいの時間をかければ、御主人様の心の内を少しでも理解することが出来るのでしょうか。

10年ですか。

20年くらいでしょうか。

「そんな事、どうでもいいだろ」と、御主人様は仰るかもしれない。

恐らく、お笑いになりながら。

普通でも、人を理解すると言うことは難しい。

きっとこの先、何年経とうと何十年経とうと、なみには御主人様を理解することは難しく思えるのかもしれない。

なみにとっての御主人様は不思議で謎の人物。

だからこそ、「御主人様」に値する存在なのかもしれない。

もっともっと知りたいが為に、後ろを歩きつづけてしまうのかもしれない。

怖気づいて足を止めたり、時々スキップを交えたりしながら。

そのうちに、少しぐらいは心の内を垣間見ることが出来、理解できてくる事もあるのかもしれません。

道はまだまだ気が遠くなるほど、長いのですから。

願わくば、御主人様の目に映るなみが

すこしでも「可愛い女性」でありますように。


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アルパカの毛が混じった毛糸玉はふあふあと柔らかくて、とても気持ちが良いのです。

あまり弄くりすぎると、細かい繊維が毛羽立ってしまって、使い物にならなくなってしまうから、

手触りを楽しむの時は、両手で包み込むようにそおっと、そおっと。

そのまま頬擦りをして、吸い込まれそうに優しい感覚の中に浸ってみるのも、楽しみの一つ。

このように暖かい毛糸玉に触れることが出来る事を考えると、

寒さに震えるばかりの「冬」も好きな季節となるのですが、

購入してからもう一ヶ月を過ぎるというのに、それは未だ何の形もとりません。

御主人様にお会いする時に着けて行けるものを作ろうと思い、

小物を編み始めて2週間も経つというのに。

確かにここ数年は、毎年の恒例と言いながらも暇つぶし程度にしか行っていなかったせいもあるのだけれども、

あまりのペースダウンに随分と腕が落ちたと、ちょっぴりため息をついたりしていたのです。

でも、やっと分かったのです。

原因はきっと「御主人様」。

何度も何度もやり直しているのに、ちっとも先に進まないのは、きっと「御主人様」にあるのですよ。

なぜなら、御主人様の事を考えていると、なみ中の時間の流れは止まってしまうのだから。

一人部屋で本を読んでいる時や、お茶を飲みに出掛けている時。

何かの拍子に、ふと頭に浮かぶ御主人様のイメージ。

そしてそれを果てしなく追いかけてしまう、なみ。

時には笑顔で暖かく。

時には恐ろしい低い御声で。

呼ばれる名前。

下される御命令。暖かい手。

御主人様の匂い。

そして・・・

気がつけば、本は一頁も進んでいないのに、日は傾き、部屋は西日に照らされてしまっているし、

テーブルに置かれたミルクティーは既に冷え切ってミルクの渦がくっきりと浮き上がっているのです。

そう、止まった時間の中でさえ、なみは御主人様に囚われてしまっている。

いいえ、「囚われてしまっている」のではなく、「囚われていたい」というこれは私の願望。

生きていると実感しているこの一分一秒までも、御主人様ただ一人にだけ囚われていたいという、

到底叶わない、なみの夢。

ふと、我に返ると、ついさっきまで規則正しく編目を作っていたはずの棒針は手の中から抜け落ち、

フローリングの床に跳ね返り、あらぬ方向へ転がってしまっている。

毛糸玉もテーブルから足元へ。

当然のごとく毛糸玉に引っ張られた毛糸はするすると解けてしまっており・・・。

そうして、また、やり直し。

残った編目を注意深くひろうのだけれど、そう言うときに限って、「御主人様」の余韻が残り、

指が震えてしまっていたりするのです。

そうして焦れば焦るほど、次々と解けてしまい、手がつけられなくなってしまう。

暦の上ではもう春。

次にお会いする時までに頑張ろうと思っているのだけれども、

完成にはほど遠く、密かに実行しようとしていた計画はどうやら来年に持ち越しになりそうです。

毛糸玉の手触りと、御主人様に掛けられた魔法の如き心地よさの中で、なみの冬はまだ続いているのだけれども・・・。



御主人様へ

なみ


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暗闇が不安を余計に掻きたて、心がなかなか静まらなくて、眠れぬ夜を何度過ごしたことでしょう。

広いベッドが急に寝返りもうてないような狭い空間に変化して、

今にも天井が落ちてきて、つぶされてしまうかのような感覚。

身体は動すことも出来ず、心臓の音だけが耳元で激しく脈打っているのです。

ふと、頭に浮かぶのは、

「眠り入る直前の「闇に落ちる」感覚は、死にゆく瞬間と似ている」という昔、何かの本で読んだ一説。

死に落ちるのは、永遠に覚めることのない夢の中に落ちて行くこと?

覚めることのない、夢は、どんなもの?

楽しい?

嬉しい?

ああ・・・悲しい夢じゃないといいのに。

いつの間にか気づくと、頬を伝い、流れ落ちてゆく幾筋もの涙。

空気に晒され、あっという間に冷えてゆく私の涙。

自分は他の人と比べると、弱いのだろうか。

こんなことでさえ、涙を落としてしまう自分は「脆い」のだろうか。

考えるのは、そんなことばかり。

遠い昔の嫌な記憶。

今までそれを乗り越えられなかった私。

それに囚われている私。

そして、これからの私。

自分は変わらなくてはならない。

このままではいけない。

でも・・・私は本当に変わって行けるのだろうか。

どうすれば良いのかさえ、分からないのに。

・・なんて情けない。

そう思うとますます涙が止まらずに、声を押し殺すのにとても困ったものでした。

今、御主人様という存在は、なみの中ではとても重要な位置を占めていらっしゃる。

凄く心地よくて、ガチガチに固くなった心がまぁるく溶かされる。

失うのは、とても恐ろしい。

それは良いことなのか、悪いことなのか、なみには良く分からないのだけれども。

ただ、分かっていることは、御主人様はとても強い存在であること。

とても、大きい存在であること。

お傍に入させていただける時間はほんのちょっぴりだけれども、

その時のなみは、とてつもない安心感に包まれてしまう事。

これはきっと、他の誰にも分からない。

守られているという、実感。

泣きたくなるような最高級の安心感。

他に女性が何人いても構わないのかもしれません。

十人、二十人、たとえ千のくらいまで増えようと。

一番最後に存在する一人になったとしても、なみには御主人様がいる。

この事実があれば、なみはきっと、こうして立っていられる。

押さえつけてきた不安や寂しさ、猜疑心、羨望、そして悲しみ。

まだまだ沢山。

誰の心にもそれは存在しているものであるけれど、でもその苦しさは、他の誰にも分からない。

自分で受け止め、消化し、乗り越えて行かなくてはならない物。

戦うのは自分自身。

私には、いまだ、立ち向かえてはいないのかもしれないけれど、 

こうして立っていられるのならば、きっと「大丈夫」なのかもしれない。

変わってゆける、かもしれない。

御主人様、お傍にいてくださいね。

今はまだ、寄りかかったままなのかもしれないけれど。

なみは強くなりたい。

御主人様のような、強さが欲しい。

御主人様のお傍で、強くなっていきたい。

だから神様、もう少しだけ、御主人様の御傍になみをこのままで居させて下さい。