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今冬のボーナスでビデオカメラの購入を検討している方のために、

その手の掲示板で得た知識ではあるが、ビデオカメラについて少し語ってみようと思う。

最近の傾向として、ビデオの分野においても静止画を重視した高画素化競争の時代に突入している。

デジカメを持たず、ビデオ一台で静止画と動画の両方をフォローしようという人には意味のある進化だが、

そうでない人、要するに静止画はデジカメで、動画はビデオでと、

ちゃんと使い分けて人にとって高画素化は実に迷惑な話なのだ。

この迷惑はCCDのサイズそのままに画素数だけ上げているということに起因する。

少し具体的に説明すると、

CCDのサイズがそのままということはCCDの面積が変わっていないということだ。

そこで、「CCDの面積÷画素数」という算式について考えてもらいたい。

この算式で得られる数値(画素ピッチ)とはすなわち一画素辺りの情報変換に割り当てられるCCDの面積だ。

CCDとはレンズを通して取り込んだ風景を電子的に変換する回路であり、

一画素に割り当てられるCCD面積が大きければ大きい程様々なメリットがあることは容易に想像がつくだろう。

よく言われているのが、

「階調が豊かであること」「白トビしにくいこと」「暗部ノイズが少ないこと」「低輝度の撮影に強いこと」。

よって逆説的に言うと最近の高画素モデルは、

「階調が豊かでない」「白トビしやすい」「暗部ノイズが多い」「低輝度の撮影に弱い」ということになる。

「高画素=良いビデオ」では決してないので、この点くれぐれも注意が必要だ。

(これはデジカメについても同じことが言える)

そもそもデジタルビデオのフォーマットは有効画素上限が35万画素なので、

それ以上に画素が増えたところで正比例的な恩恵があるわけではない。

高画素になればシャープ感が増すのだが、

そのシャープ感のために上記四要素が犠牲になってしまっている。

光量が充分な日中屋外での撮影であれば高画素化の恩恵を受けることができるが、

日が暮れ始めたり、屋内に入ったりすると、とたんにメッキがボロボロと剥がれ始める。

では何故こぞってどのメーカーも高画素化に走っているのかというと、

これは消費者側にも問題があるのだが、

高画素化しないとスペック的に見劣りしてしまうという単純な事情がある。

例えば300万画素と400万画素のモデルが並んでいれば

誰だって400万画素の方がいいと思い込んでしまうし、予算さえあれば実際そっちを買う。

画素数は具体的な数値なのでメーカーも販売員もアピールしやすい。

よって、どこか一社が高画素のモデルを出せば他社も追随せざるえないのだ。

そのイタチゴッコによりとうとうビデオも198万画素まで来てしまった。

この点強調しなければならないが、

198万画素とはビデオカメラにおける静止画撮影機能のために有効な数値であって、

静止画撮影にはデジカメを使うのならさほど意味がない。

そういったメーカー同士の販売競争のあおりを喰らって、

ビデオ本来の性能としては退化している新製品を買わされているわけだ。

言い換えれば、メーカーは性能のいいビデオを作ろうとしているのではなくて、

単に売れるビデオを作っているに過ぎない。

現にその手の掲示板では、最新機種を買ったがどう見ても昔の方が良い、

という声をしばしば目にすることができる。

ハイアマチュア向けの高級機など高画素化は何処吹く風で、

未だに27万画素や34万画素止まりだ。

このサイトをご覧のみなさんは高画素化というメーカーの戦略に決して騙されてはいけない。



具体的な機種の話をしよう。

次のボーナスでSONY−PC120、あるいはCANON−PV130の購入を検討している人はいるだろうか?

はっきり言おう、この二機種並の本体サイズでもいいならば、CANON−FV2を強く進める。

155万画素のPC120、133万画素のPV130に対してFV2はたったの35万画素だ。

しかし、一見見劣りするこの数値こそが実はビデオカメラとして素晴らしい。

これをSM方面から語るとすれば、室内プレイの撮影でも良好な画像が得られるということになる。

一画素辺りのCCD面積が広いのでそれだけ感度が高いということだ。

例えばラブホテルなど外光の一切入らない部屋の撮影ではその真骨頂を発揮する。

暗部ノイズ(赤や緑の点がサワサワ画面に表れるやつ)も目立たず、

高画素モデルでは撮影不可能なかなり照明を落とした状態でもその表情まではっきりと記録する。

緊縛には百目ローソクの灯が似合うものだが、

例えばこれを動画として残そうとする時、高画素モデルではかなり汚くなってしまう。

あるいは、出来の悪い機種だと暗くて何をやっているかわからないかもしれない。

私はしばしば夜のキャンプ風景を録画することがあるが、こうなるとFV2の独壇場だ。

(注:PC120には0ルクスでも撮影可能な赤外線白黒モードがあるということを一応書いておく)

もちろんFV2は昼間の撮影においても原色フィルターと豊富な画素ピッチにより鮮やかでリッチな絵を撮ることができる。

だらだらと書いてきたが、

今冬のボーナスで動画画質優先のビデオカメラを買おうと思っている方はCANON−FV2、

携帯性重視ならSONY−PC9かCANON−IXY2がお薦めだ。

(PC9はスタミナバッテリーが魅力的だが、CCDが補色系ということもあって絵が地味だ。

全体的に青みがかった色であり、多少大袈裟だが室内で人の顔を撮すとゾンビのようになる。

一方IXY2はCCDが原色系ということもあって鮮やかな色を楽しめるが、

いかんせんバッテリーの持ちが悪過ぎて明らかに機動性を損なっている。)

ただし問題なのは、FV2は既に流通在庫のみになっているということ。

しかもその大方を事情通の方がことごとく買っていったという経緯があり既に店頭からも消えかかっているので、

もし幸運にも見つけたらボーナスを待たずに購入するのがよろしいかと思う。

何で今日急にこんなコラムを書いたかというと、

土曜日ミナミに行ったときにビックカメラに立ち寄った際、

この名機がキット込みで99,800円で売られていたのを見たから。

何も知らなければ昔の機種の叩き売りにしか見えないが、

下手するとプレミアさえ付きかねないFV2が今も売られていることに正直驚いた。

しかも安い。

ちゃんとした動画の撮れるビデオが欲しい人なら今すぐ買いだろう。

室内での使用がメインならば尚更だ。

ただし、怪しげな金融品で良ければその手のサイトではまだまだ売られている。

正式名はCANON撮レビアンFV2であり、

そのネーミングとデザインは一歩引くものがあるが、まさに羊の皮を被った狼だ。

マニュアル機能と操作性も極めて良好であり、私の愛機であるということも付け加えておく。

これを読んで「じゃあ俺もFV2!!」とはならないだろうが、

少なくとも購入候補のリストには挙げてみるといい。



一つ言い忘れた。

FV2はレンズの広角側が38mmに設計されている。

最近の主流は45mmや48mmなので、これはありがたい仕様だ。

例えば狭い室内などではできるだけ広角側の数値が低いほど部屋全体を撮すことができる。

ワイドコンバージョンレンズを買い足せば解決する問題ではあるが、元がワイドに越したことはない。

案外見落としがちな数値である。



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